本記事では、20匹のネズミに生の落花生と炒った落花生を与えた場合のたんぱく質摂取量に差があるかどうかを検定する方法について解説します。与えられた情報を基に、統計的な検定を行い、落花生の加工方法がネズミの摂取量に与える影響を調べます。
問題の概要
以下の情報が与えられています。
- 生の落花生を与えたネズミ10匹のたんぱく質摂取量の平均:57.9
- 炒った落花生を与えたネズミ10匹のたんぱく質摂取量の平均:55.8
- 生の落花生を与えた場合の不偏分散:31.21
- 炒った落花生を与えた場合の不偏分散:21.07
これをもとに、落花生を炒ることがたんぱく質摂取量に影響を与えるかを5%の有意水準で検定します。
帰無仮説と対立仮説の設定
統計的検定を行うには、まず帰無仮説と対立仮説を設定します。ここでは、2つのグループ(生の落花生と炒った落花生)の摂取量の差を検定するため、次の仮説を立てます。
- 帰無仮説 (H₀): 生の落花生と炒った落花生で、たんぱく質の摂取量に差はない。
- 対立仮説 (H₁): 生の落花生と炒った落花生で、たんぱく質の摂取量に差がある。
この仮説をもとに、次に進んで検定統計量を計算します。
検定統計量の計算
2群の平均摂取量の差を比較するため、2標本t検定を使用します。t検定の計算式は次の通りです。
t = (X₁̄ – X₂̄) / √((S₁² / n₁) + (S₂² / n₂))
ここで、
- X₁̄: 生の落花生を与えた群の平均摂取量
- X₂̄: 炒った落花生を与えた群の平均摂取量
- S₁²: 生の落花生を与えた群の不偏分散
- S₂²: 炒った落花生を与えた群の不偏分散
- n₁: 生の落花生を与えた群のネズミの数
- n₂: 炒った落花生を与えた群のネズミの数
具体的な数値を代入すると、
t = (57.9 – 55.8) / √((31.21 / 10) + (21.07 / 10))
計算すると、t値は以下のようになります。
t ≈ 0.74 / √(3.121 + 2.107) ≈ 0.74 / √5.228 ≈ 0.74 / 2.284 ≈ 0.324
自由度と臨界値の計算
次に、自由度を求めます。自由度の計算には次の式を使用します。
df = ( (S₁² / n₁) + (S₂² / n₂) )² / (( (S₁² / n₁)² / (n₁ – 1) ) + ( (S₂² / n₂)² / (n₂ – 1) ))
この式を使って計算すると、自由度は次のようになります。
df ≈ 17.43
これを基に、t分布表から5%の有意水準に対応する臨界値を確認します。自由度17.43での臨界値は約2.11です。
検定結果と結論
得られたt値(0.324)は、臨界値(2.11)より小さいため、帰無仮説を棄却することができません。
したがって、「生の落花生と炒った落花生でたんぱく質の摂取量に差はない」という結論になります。つまり、落花生を炒ったことがネズミのたんぱく質摂取量に統計的な影響を与えることはないと結論できます。
まとめ
今回の検定結果をもとに、落花生を炒ることがネズミのたんぱく質摂取量に有意な影響を与えることはないことが分かりました。統計的検定を活用することで、実験データに基づいた信頼できる結論を得ることができます。この方法を理解し、他の実験にも適用していくことが重要です。
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