『三國志』巻四 高貴郷公紀の書き下し文と解説

文学、古典

『三國志』巻四 高貴郷公紀に登場する、安西將軍鄧艾の戦功を讃える詔の書き下し文について解説します。この文章は、鄧艾が蜀の大将姜維を大破し、勝利を祝う詔です。ここでは、書き下し文とその解説を通して、古典の理解を深めていきます。

書き下し文

癸未、安西將軍鄧艾大破蜀大將姜維于上邽、詔曰:「兵未極武、醜虜摧破、斬首獲生、動以萬計、自頃戰克、無如此者。今遣使者犒賜將士、大會臨饗、飲宴終日、稱朕意焉。」

現代語訳

「癸未年、安西将軍の邓艾は蜀の大将姜維を上邽で大破しました。詔に曰く、『兵の力が極まらず、醜い虜(敵)を撃破し、斬首し生け捕りにし、動員した人数は万を超え、戦の戦果も自分が戦ったものの中でこのようなことは未だかつてなかった。今、使者を派遣して将士を慰労し、大宴会を開いて終日飲み食いさせ、朕の意にかなうようにせよ』。」

文法と古語の解説

「癸未」:天干地支の「癸未(けいび)」は、年月を表す表現で、古代の中国では年号をこのように記録しました。

「將軍」:この時期の将軍は軍の指揮を執る高い官職であり、軍事のトップに位置する人物です。

「動以萬計」:この表現は、動員した兵士の数が非常に多かったことを示しています。「以」は「…で、…をもって」という意味で、「萬計」は「万を超える」という意味です。

詔の内容と背景

この詔は、鄧艾が蜀軍の大将姜維を大破したことを称賛し、その功績を大いに評価しています。特に、「兵未極武」とは、兵力をまだ最大限に使っていない、すなわち大きな戦果を上げたことを強調しています。

また、「飲宴終日」という表現からは、戦勝を祝う宴が非常に盛大であったことがうかがえます。宴会の開催は、古代中国において勝利を祝う重要な儀式でした。

まとめ

『三國志』巻四のこの詔は、鄧艾の戦功を称える重要な文書です。書き下し文を通じて、その内容や意味、使われている古語や文法について理解を深めることができました。詩的な表現や戦の詳細が盛り込まれたこの詔を読み解くことで、当時の政治や軍事の状況に触れることができ、古典文学をより深く理解できるようになります。

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