直交行列の行列式が1または-1であることの証明方法

大学数学

この記事では、直交行列の行列式が1または-1であることを証明する方法について解説します。直交行列に関する重要な性質の一つとして、その行列式が1または-1であるという事実があります。これを示すために、いくつかの行列の性質を利用して説明します。

直交行列とは

直交行列とは、行列Aに対してA^T A = I(単位行列)を満たす行列のことを言います。直交行列の特徴として、行ベクトルおよび列ベクトルが互いに直交し、かつその長さが1であることが挙げられます。直交行列の行列式が1または-1であることは、この性質に関連しています。

行列式の基本的な性質

行列式に関する重要な性質の一つは、以下の公式です。

|AB| = |A||B|
この公式は、行列AとBの積の行列式がそれぞれの行列式の積と等しいことを示しています。また、転置行列に関しても次のような性質があります。

|A^T| = |A|
これは、行列Aの転置行列の行列式は元の行列Aの行列式と等しいことを示しています。

直交行列の行列式の証明(1)

直交行列Aに対して、A^T A = Iが成り立つことを利用して行列式を計算します。まず、行列式の性質から次のように計算できます。

|A^T A| = |A^T| |A| = |A|^2
また、A^T A = Iなので、|A^T A| = |I| = 1です。これにより、|A|^2 = 1となり、|A| = ±1であることが示されます。したがって、直交行列の行列式は1または-1であることが分かります。

直交行列の行列式の証明(2)背理法を用いた証明

次に、|AB| = |A||B|のみを使用して、背理法を用いて直交行列の行列式が1または-1であることを証明します。

背理法の設定
直交行列Aの行列式が1でも-1でもないと仮定します。この仮定を基に、行列Aの行列式が0でないことから矛盾が生じることを示します。最終的に、この仮定が間違っていることが分かるため、|A| = 1 または |A| = -1 であることが証明されます。

直交行列の性質と行列式の結論

直交行列の行列式が1または-1である理由は、行列Aの転置行列と元の行列Aの積が単位行列Iであり、その行列式が1であることに起因します。さらに、背理法を使用しても、行列式は±1であることが確かめられます。直交行列の行列式が1または-1であることは、このようにして証明されました。

まとめ

直交行列の行列式が1または-1であることは、行列の基本的な性質と行列式の公式を使って証明できる重要な結果です。直交行列は、ベクトルの回転や反射を表す場合に登場し、その行列式が1または-1であることはその特性を反映しています。今回の解説を通じて、直交行列とその行列式に関する理解が深まったと思います。

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