スイッチング電源用コイルの温度上昇要因と漏れ磁束の影響について

工学

スイッチング電源におけるコイルの温度上昇要因として、コアロス(鉄損)や巻線による銅損はよく知られていますが、その他にも温度上昇を引き起こす要因が存在します。また、ギャップによる漏れ磁束の影響についても、温度上昇に関わる重要な要素となることがあります。この記事では、これらの要因とその計算式について解説します。

コイルの温度上昇要因

スイッチング電源において、コイルが発熱する主な要因は以下の通りです:
1. コアロス(鉄損)
2. 銅損(巻線による損失)
3. 磁気飽和
4. 高周波損失
5. ギャップによる漏れ磁束

ギャップによる漏れ磁束の影響

ギャップが存在すると、磁束が一部漏れ出すことがあり、この漏れ磁束が温度上昇に影響を与える場合があります。ギャップによって発生した漏れ磁束は、コア材の効率を低下させるため、結果としてコアロスや銅損が増加し、温度上昇を引き起こします。漏れ磁束の影響を評価するには、磁束密度の分布を分析し、漏れ磁束の大きさを計算することが必要です。

漏れ磁束の損失計算

漏れ磁束が温度上昇に与える影響を算出するための計算式は、通常、コイルのインダクタンスや周波数、コア材の特性を考慮に入れます。以下の式を用いて漏れ磁束による損失を評価することができます:
損失 = k * B² * f * V
ここで、kは材料定数、Bは磁束密度、fは周波数、Vはコアの体積です。この式により、ギャップが発生させる漏れ磁束による影響を定量的に評価できます。

高周波損失と磁気飽和

スイッチング電源の周波数が高くなると、高周波損失や磁気飽和が顕著になります。高周波損失は、主にコイルの巻線やコア材で発生します。これにより、効率が低下し、温度上昇が進行します。磁気飽和は、コア材が十分な磁束を保持できなくなる現象で、これによりコアロスが増加します。高周波損失を最小限に抑えるためには、適切なコア材や巻線技術の選定が必要です。

まとめ

スイッチング電源用のコイルにおける温度上昇要因には、コアロスや銅損に加えて、磁気飽和、高周波損失、そしてギャップによる漏れ磁束があります。漏れ磁束による影響を評価するためには、磁束密度、周波数、コアの特性を考慮した計算が必要です。これらの要因を理解し、適切な設計を行うことで、効率的な温度管理が可能になります。

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