関数空間 C[a,b] における距離 d2(f, g) = ∮[a→b] |f(x) – g(x)| dx が完備でないことを示す問題について解説します。この問題では、C[a,b] 上の距離空間が完備でないことを証明するために、収束する列が必ずしもその空間内の元に収束するわけではないことを示す必要があります。
距離空間(C[a,b], d2)の定義
まず、C[a,b] は区間 [a, b] 上で連続な実数値関数の集合を表します。d2(f, g) = ∮[a→b] |f(x) – g(x)| dx は、関数 f と g の間の距離を定義するものです。この距離は、f(x) と g(x) の差の絶対値を区間 [a, b] で積分することによって計算されます。
この距離は、関数間の距離を測るための有用な方法ですが、C[a,b] 上で完備性を示すためには、この空間における収束する列が必ずしもその空間内に収束することを証明する必要があります。
完備性とは?
完備性とは、距離空間において、任意のコーシー列がその空間内に収束するという性質です。コーシー列とは、列の各項が十分に近づいていくような列です。完備な空間では、このような列が必ず収束先の元を持ちます。
この問題において、C[a,b] 上の距離空間が完備でないことを示すためには、収束する列がその空間の元に収束しない例を示す必要があります。
収束しない列の構成
C[a,b] 上で完備性が成立しない例として、特定の関数列を考えることができます。例えば、次のような関数列を考えます。
f_n(x) = sin(nx) という関数列を C[0, π] 上で考えると、この列は区間 [0, π] 上で一様収束しないことがわかります。具体的には、f_n(x) は n が大きくなるにつれて、0 と π の間で非常に複雑な振動を繰り返しますが、任意の連続関数には収束しません。
結論:完備でない理由
このように、C[a,b] 上の距離空間で収束する列が必ずしもその空間の元に収束しない場合があるため、C[a,b] 上の距離空間は完備でないことがわかります。
完備性の欠如は、この距離空間が解析学的な場面で注意すべき特性であり、特に関数列の収束について考慮する際に重要です。
まとめ
距離空間 (C[a,b], d2) が完備でないことを示すためには、収束する列がその空間の元に収束しない例を考えることが有効です。実際に、関数列 sin(nx) がその空間内で収束しないことを確認し、C[a,b] 上で完備性が成立しないことを証明しました。この証明は、関数解析や測度論において重要な知見を提供します。
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