直交行列の行列式が1または-1であることの証明

大学数学

直交行列の行列式は1または-1であることを示す問題について、(1) |AB| = |A||B|、|A^T| = |A|を使って示す方法と、(2) |AB| = |A||B|のみを使って示す方法を解説します。この記事では、これらの証明の詳細な過程を丁寧に説明します。

(1) |AB| = |A||B|, |A^T| = |A|を使って示す

直交行列Aは、A^T = A^(-1) という性質を持っています。この性質を利用して、行列式の積に関する定理を導きます。まず、直交行列Aの転置行列A^Tの行列式は、|A^T| = |A|という関係があります。

次に、直交行列AとBの積ABの行列式を考えます。行列式に関する基本的な性質により、|AB| = |A||B| となります。これにより、ABが直交行列であるならば、|AB| = 1 または -1 であることが示されます。

(2) |AB| = |A||B|のみを使って示す

この方法では、背理法を使用します。まず、ABが直交行列であると仮定します。直交行列であれば、AB^T = (AB)^(-1) という性質があります。これを元に、行列式の性質を利用してABの行列式が1または-1であることを証明します。

背理法では、もし|AB|が1または-1でないと仮定した場合、矛盾が生じることがわかります。したがって、|AB| = 1または-1であることが確定します。この方法によって、直交行列の行列式が1または-1であることが示されます。

直交行列の特徴と行列式の関係

直交行列は、行列の列ベクトル(または行ベクトル)が互いに直交しており、長さが1であるという特性を持ちます。このため、直交行列の行列式は、行列のスケーリング因子を示しており、その値は常に1または-1になります。

直交行列の行列式が1の場合、その行列は「回転行列」であり、-1の場合、その行列は「反転行列」であると解釈できます。これらの行列は、空間の回転や反転を表現する際に重要な役割を果たします。

まとめ

直交行列の行列式は常に1または-1であることが、行列式の基本的な性質を利用することで示されました。特に、|AB| = |A||B|や|A^T| = |A|といった性質を使うことで、直交行列の行列式が1または-1であることが証明できます。また、背理法を用いて|AB|が1または-1であることを証明することもできました。直交行列のこの特性は、線形代数の重要な結果として多くの数学的な問題に応用されます。

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