ビッグバンからおよそ40万年後、宇宙は晴れ上がり、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)として観測される現象が起こりました。この時、宇宙はどのような状態だったのでしょうか? さらに、宇宙が徐々に暗くなり現在のような状態に至る過程についても考えてみましょう。
1. 宇宙の晴れ上がりとは?
宇宙の晴れ上がりとは、ビッグバンから約40万年後に発生した現象で、宇宙が透明になった瞬間を指します。それまで宇宙は高温・高密度のガス状態で、光が物質に散乱されていました。しかし、温度が下がり、電子と陽子が結びついて中性の水素原子が形成されることで、光が自由に進むことができるようになりました。この時、宇宙全体が突然透明になり、光が放射されました。この光が現在、宇宙マイクロ波背景放射として観測されています。
2. 宇宙が明るくなったか?
宇宙の晴れ上がりが起こったとき、宇宙全体は明るくなったと言えるのでしょうか? 結論から言うと、「明るくなった」とは言い難い部分もあります。当時、宇宙はまだ非常に高温であり、暗い空間でした。ただし、晴れ上がりによって放射された光は、その後の宇宙の進化において重要な役割を果たします。この光は、後の銀河の形成などに影響を与えました。
3. 宇宙の赤方偏移とその影響
宇宙が膨張し続ける中で、光は赤方偏移を起こします。赤方偏移とは、光が長い波長に変わる現象で、宇宙の膨張と共に観測されます。宇宙の晴れ上がりから数十億年後、赤方偏移が進み、最初の光は可視光から微弱なマイクロ波領域へとシフトしました。この現象は、私たちが現在観測する宇宙マイクロ波背景放射の一因でもあります。
4. 宇宙の暗さはどう進んだのか?
宇宙が徐々に暗くなった過程について考えると、初期の宇宙は非常に明るかったわけではなく、むしろ暗い状態からのスタートでした。晴れ上がりが起こった後も、宇宙は膨張しながら冷却されていき、最初の星や銀河が形成されるまで、長い間、宇宙は比較的暗いままでした。この後、星形成が進むことで宇宙の明るさが増し、今のような明るい宇宙の姿が見えるようになったのです。
5. まとめ
宇宙の晴れ上がりから現在の宇宙に至るまでの過程は、宇宙の膨張と冷却、そして赤方偏移によって暗くなるという複雑な現象の連続です。最初の光が放射された時期は明るかったとは言いませんが、宇宙が透明になり、光が自由に進むことができるようになったことが、その後の宇宙の進化に大きな影響を与えました。現在私たちが観測している宇宙マイクロ波背景放射は、その証拠となる重要な観測結果です。
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