非常用発電機の点検時に、起動前は0Aだった直流電流計が始動直後に大きく上昇し、その後しばらく運転すると数値が下がる現象があります。この変化は故障ではなく、発電機の始動時と運転中で蓄電池や充電回路の役割が変化するために起こります。この記事では、非常発電機の直流電流計の変化について、始動電流・バッテリー・充電装置の働きを分かりやすく解説します。
非常発電機の始動時に大きな直流電流が流れる理由
非常用発電機は、停電などの緊急時に自動的に起動できるよう、通常は蓄電池(始動用バッテリー)を備えています。この蓄電池は、エンジンを回転させるスターターモーターへ電力を供給する役割を持っています。
発電機を起動すると、最初にスターターモーターが動作します。スターターモーターはエンジンを回すために比較的大きな電力を必要とするため、起動直後には蓄電池から大きな直流電流が流れます。
そのため、起動前は0Aだった直流電流計が、始動直後に4.7Aなどの値を示すことがあります。これはバッテリーが始動用電力を供給している状態を表しています。
エンジン始動後に直流電流が減少する仕組み
非常発電機のエンジンが始動すると、スターターモーターは停止します。つまり、最も大きな電力を必要としていた負荷がなくなるため、蓄電池から流れる電流は急激に減少します。
その後、発電機本体が回転して発電を開始すると、内部または外部に設置された充電装置(バッテリーチャージャー)が蓄電池へ電力を送り始めます。
始動直後は、スターターモーターによって消費された電力を補充するため、充電電流が流れます。しかし、5分程度運転すると蓄電池の電圧が回復し、充電電流も徐々に小さくなるため、直流電流計の値が4.7Aから2.6A程度まで下がることがあります。
直流電流計が示しているものは何か
非常発電機の直流電流計は、単純に「発電機がどれだけ電気を使っているか」を示しているわけではありません。多くの場合、始動回路や制御回路、バッテリー充電回路などを流れる直流電流を表示しています。
例えば、始動時には次のような流れになります。
① 起動指令が出る
↓
② 蓄電池からスターターモーターへ大電流が流れる
↓
③ エンジンが始動する
↓
④ 充電装置が蓄電池を回復させる
↓
⑤ バッテリー電圧が戻り充電電流が減少する
このように、直流電流計の値は時間によって変化するのが正常な動作です。
無負荷運転でも電流が流れる理由
非常発電機の点検では、実際の建物の電気負荷を接続しない無負荷運転を行うことがあります。しかし、無負荷だからといって直流側の電流がゼロになるわけではありません。
発電機を動かすためには、エンジン制御装置、燃料制御、監視装置、励磁回路、バッテリー充電回路などが動作しています。そのため、運転中も一定の直流電力が必要になります。
また、蓄電池は常に満充電状態を維持する必要があるため、発電機が停止している通常時でも微弱な充電電流が流れている場合があります。
直流電流値の変化から判断できること
始動直後に電流が増加し、時間経過とともに減少する動きは、一般的には正常な状態です。特に、始動後にバッテリー電圧が規定値まで回復している場合は問題ありません。
一方で、長時間運転しても電流値が高いままの場合は、バッテリーの劣化や充電装置の異常などが考えられます。
例えば、5分以上運転しても常に大きな充電電流が流れ続ける場合、蓄電池が十分に充電できていない可能性があります。定期点検では電流値だけでなく、バッテリー電圧や比重、充電器の状態なども確認することが重要です。
まとめ|非常発電機の直流電流低下は充電状態の変化によるもの
非常発電機を起動した際に直流電流計が0Aから上昇し、その後5分程度で低下する現象は、蓄電池の役割が始動から充電へ変化するために起こります。
始動直後はスターターモーターを動かすために大きな電流が必要ですが、エンジンが動き始めるとその負荷はなくなり、代わりにバッテリーを回復させるための充電電流が流れます。
したがって、起動直後4.7Aだった直流電流が運転後2.6A程度まで下がることは、発電機の制御が正常に働いている可能性が高い現象です。異常判断をする場合は、電流値だけではなく電圧や充電状態なども合わせて確認することが大切です。


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