連立偏微分方程式は、複数の偏導関数の関係から未知関数を求める問題です。特に∂z/∂xと∂z/∂yが与えられている場合、全微分方程式へ変換して積分可能性を確認する方法や、線形微分方程式へ変換する方法を使って解くことができます。この記事では、∂z/∂x=-yz/(x²+y²)、∂z/∂y=zx/(x²+y²)という形の連立偏微分方程式について、解法の流れを順番に整理します。
連立偏微分方程式を全微分方程式に変換する
与えられた式は、
∂z/∂x=-yz/(x²+y²)
∂z/∂y=zx/(x²+y²)
という形です。全微分の形では、
dz=(∂z/∂x)dx+(∂z/∂y)dy
となるため、代入すると、
dz=-yz/(x²+y²)dx+zx/(x²+y²)dy
となります。整理すると、
dz-z/(x²+y²)(-y dx+x dy)=0
つまり、
dz+z(y dx-x dy)/(x²+y²)=0
という全微分方程式の形になります。
全微分方程式の積分可能性を調べる
一般に全微分方程式が、
M(x,y,z)dx+N(x,y,z)dy+P(x,y,z)dz=0
の形で表される場合、積分可能であるためには適切な条件を満たす必要があります。
今回の場合、
M=zy/(x²+y²)
N=-zx/(x²+y²)
P=1
と考えられます。
完全微分方程式の条件として、
∂M/∂y=∂N/∂x、∂M/∂z=∂P/∂x、∂N/∂z=∂P/∂y
を確認します。
計算すると、
∂M/∂z=y/(x²+y²)、∂P/∂x=0
となるため、このままでは完全微分方程式ではありません。
したがって、積分因子を掛けることで完全微分方程式に変換することを考えます。
積分因子を求めて完全微分方程式にする
今回の方程式はzについて1次の形をしているため、zを含まない積分因子を考えます。
元の式は、
dz/z+(y dx-x dy)/(x²+y²)=0
と変形できます。
ここで、
dz/z=d(log|z|)
であり、また、
(y dx-x dy)/(x²+y²)
は偏角に関係する微分になります。
x=r cosθ、y=r sinθとおくと、
xdy-ydx=r²dθ
なので、
(y dx-x dy)/(x²+y²)=-dθ
となります。
したがって、
d(log|z|)-dθ=0
になります。
一般解を求める
上の式を積分すると、
log|z|-θ=C
となります。
ここでθは、
θ=tan⁻¹(y/x)
で表されます。
よって、
log|z|-tan⁻¹(y/x)=C
が一般解になります。
指数関数を使って整理すると、
|z|=Ae^{tan⁻¹(y/x)}
となり、定数の符号を含めて、
z=C e^{tan⁻¹(y/x)}
と表すことができます。
線形微分方程式への変換による解法
次に、連立偏微分方程式を線形微分方程式として考えます。
最初の式から、yを定数としてxについての微分方程式と見ると、
∂z/∂x=-y/(x²+y²)z
となります。
これは、
dz/dx+ y/(x²+y²)z=0
という1階線形微分方程式です。
解は、
z=C(y)exp(-∫y/(x²+y²)dx)
となります。
積分部分は、
∫y/(x²+y²)dx=tan⁻¹(x/y)
なので、
z=C(y)e^{-tan⁻¹(x/y)}
を得ます。
この結果をもう一方の偏微分方程式に代入することで、C(y)を決定できます。
解法で重要になるポイント
このタイプの問題では、単純に偏微分を積分するだけではなく、2つの式が矛盾なく1つの関数zを作れるか確認することが重要です。
全微分方程式への変換では積分可能性を確認し、完全微分でなければ積分因子を探します。また、別の方法として線形微分方程式として扱うこともできます。
どちらの方法でも最終的には、xとyの関係からzを表す関数を求めることが目的になります。
まとめ:連立偏微分方程式は形を見て解法を選ぶ
∂z/∂x=-yz/(x²+y²)、∂z/∂y=zx/(x²+y²)のような連立偏微分方程式では、まず全微分方程式へ変換し、積分可能性を確認することが基本です。
今回の式はそのままでは完全微分ではありませんが、zで割ることで対数微分と角度の微分の形に整理でき、一般解を求めることができます。
また、xまたはyを固定して線形微分方程式として解く方法もあり、偏微分方程式では式の形に応じて複数の解法を使い分けることが大切です。


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