近年、「障害者」という表記ではなく「障がい者」と書く場面が増えています。この表記変更には、言葉に含まれる印象への配慮や、当事者への向き合い方に関する考え方が関係しています。
一方で、「害」だけをひらがなにすることに意味があるのか、「障」という漢字も否定的な意味を持つのではないか、と疑問を持つ人もいます。この記事では、「障害者」と「障がい者」の違いや、表記をめぐる考え方について分かりやすく解説します。
「障害者」と「障がい者」の表記が広まった理由
「障がい者」という表記が広まった背景には、「害」という漢字が持つ否定的な印象に配慮する考え方があります。
「害」という字には「害する」「悪影響を与える」といった意味があるため、人を表す言葉に使うことで、障害のある人自身が「害」であるかのような誤解を生む可能性があるという意見がありました。
そのため、一部の自治体や団体などでは、「障がい者」という表記を採用し、言葉から受ける印象を和らげようとする取り組みが行われています。
「障」という漢字にも否定的な意味はあるのか
「障」という漢字には、「さえぎる」「じゃまする」という意味があります。そのため、「障害」という言葉自体は、「物事の進行を妨げるもの」という意味を持っています。
ただし、「障害者」という言葉は、障害という状態を表しているものであり、その人自身が周囲に害を与えるという意味ではありません。
例えば、「道路の障害物」という場合は通行を妨げるものを指しますが、「障害者」という場合は、身体的・精神的・知的な特性によって生活上の困難や制限が生じている人を指します。言葉は同じ漢字を含んでいても、使われ方によって意味が変わります。
「障がい者」表記は当事者全員が求めているものなのか
「障がい者」という表記については、障害のある人の中でもさまざまな意見があります。
表記変更を肯定する人からは、「言葉による偏見や先入観を減らすきっかけになる」「社会が配慮について考える機会になる」という意見があります。
一方で、「表記を変えるだけでは本質的な問題は解決しない」「障害という言葉を隠すことより、必要な支援や環境整備が重要」という考え方もあります。
つまり、「障がい者」という表記が必ずすべての当事者に支持されているわけではなく、何を重視するかによって意見が分かれています。
表記を変えることと本当の配慮は別の問題
言葉の表記を変えることは、社会の意識を変える一つのきっかけになる場合があります。しかし、それだけで障害のある人が暮らしやすい社会になるわけではありません。
本当の意味での配慮とは、呼び方だけではなく、段差の解消、情報へのアクセス改善、働く環境の整備、偏見をなくすための理解など、具体的な行動を含みます。
例えば、「障がい者」と表記していても、職場や学校で必要なサポートがなければ、当事者にとって十分な配慮とは言えません。逆に「障害者」という表記を使っていても、本人の尊厳を大切にした対応をしている場合もあります。
「障害者」という言葉自体は現在も使われている
現在の日本では、「障害者」という表記も正式な場面で使用されています。法律や制度の名称では「障害者」という表記が基本となっているものも多くあります。
例えば、国の法律である障害者基本法などでは「障害者」という表記が使われています。
そのため、「障がい者」が正しく「障害者」が間違いという単純なものではなく、使用する場面や考え方によって選択されているのが現状です。
まとめ:「障がい者」は配慮の一つだが、大切なのは表記だけではない
「障害者」と「障がい者」の違いは、主に「害」という漢字から受ける印象への配慮によるものです。表記を変えることで、社会が障害について考えるきっかけになるという考えがあります。
一方で、表記変更だけで問題が解決するわけではなく、本当に重要なのは障害のある人が安心して生活できる環境や、互いを尊重する意識を作ることです。
どちらの表記を使うかについては意見が分かれますが、言葉の形だけではなく、その言葉を使う人の姿勢や相手への理解こそが大切だと言えるでしょう。


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