有限群の極小正規部分群の交わりを証明する方法|N∩x⁻¹Nx={e}の導出

大学数学

有限群の群論では、極小正規部分群の性質を利用して部分群同士の関係を調べる問題がよく登場します。特に、ある部分群が正規ではないことから共役部分群を考え、その交わりが単位元だけになることを示す議論は重要な考え方です。

この記事では、有限群Gの極小正規部分群M、その中の極小正規部分群Nについて、N∩x⁻¹Nx={e}となる理由を、正規部分群の性質や共役による議論を使って丁寧に解説します。

問題設定と用語の確認

まず、状況を整理します。Gは有限群であり、MはGの極小正規部分群です。つまり、MはGの正規部分群で、M自身と単位元群{e}以外にGの正規部分群を持ちません。

さらにNはMの極小正規部分群であり、N≠{e}、M⊃Nという条件があります。ここで重要なのは、NはMの中では正規ですが、G全体に対しては正規ではないという点です。

NがGの正規部分群であれば、Mの中にあるGの正規部分群になってしまいます。しかしMは極小正規部分群なので、そのようなNは存在できません。そのためNはGでは正規ではありません。

共役部分群x⁻¹Nxを考える

NがGの正規部分群ではないため、あるx∈Gが存在して、共役によってNが変化します。

つまり、x⁻¹Nx≠Nとなるようなxを選ぶことができます。ここでx⁻¹NxもまたMの部分群になります。

なぜなら、MはGの正規部分群なので、任意のx∈Gに対してx⁻¹Mx=Mが成立するからです。そしてN⊂Mより、x⁻¹Nx⊂Mとなります。

N∩x⁻¹Nxが正規部分群になることを示す

次に、共通部分K=N∩x⁻¹Nxを考えます。

KはNの部分群であり、さらにx⁻¹Nxの部分群でもあります。ここで重要なのは、KがMの正規部分群になるということです。

NはMの正規部分群なので、Mの任意の元mに対してm⁻¹Nm=Nです。またx⁻¹Nxも同様にMの正規部分群になります。

実際、Mの元mについて、m⁻¹(x⁻¹Nx)m=x⁻¹((xm⁻¹x⁻¹)N(xmx⁻¹))xのように考えることができ、Mが正規性を持つことから共役によってx⁻¹Nxの中に戻ります。そのため、共通部分KもMの正規部分群になります。

極小正規部分群Nの性質を利用する

K=N∩x⁻¹NxはNの部分群であり、さらにMの正規部分群です。

ここでNはMの極小正規部分群でした。つまり、Nの中でMに対して正規な部分群は、{e}またはNしかありません。

したがって、Kは次のどちらかになります。

  • K={e}
  • K=N

もしK=Nであるならば、N⊂x⁻¹Nxとなります。

しかしNとx⁻¹NxはどちらもMの極小正規部分群です。有限群では極小正規部分群同士の包含関係があれば一致するため、N=x⁻¹Nxとなります。

これは、xを選んだ条件x⁻¹Nx≠Nに反します。

したがって交わりは単位元だけになる

以上より、K=N∩x⁻¹NxがNになる可能性はありません。

残る可能性はK={e}だけです。

したがって、求める結果として、N∩x⁻¹Nx={e}が証明されます。

この証明で使われている群論のポイント

この問題の中心となる考え方は、「極小正規部分群の交わりは、極小性によって非常に制限される」という点です。

共役によって別の部分群を作り、その交わりを調べることで、正規性を持つ部分群がどのように配置されるかを理解できます。

特に有限群論では、極小正規部分群は単純群や直積分解の議論にも関係する重要な対象であり、このような共役と交わりを使った証明は基本的なテクニックとして頻繁に利用されます。

まとめ

極小正規部分群Nについて、NがGの正規部分群ではないため、あるx∈Gでx⁻¹Nx≠Nとなる共役部分群を取ることができます。

その交わりN∩x⁻¹NxはMの正規部分群になるため、Nの極小性から{e}またはNしかありえません。

もし交わりがNならば共役部分群と一致してしまい、x⁻¹Nx≠Nという条件に矛盾します。よって残るのはN∩x⁻¹Nx={e}であり、これが証明されます。

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