船舶の操船現場では、一般的な日本語とは少し違う独特の表現が使われることがあります。その中でも「相手船をかわる」「かわっていく」という言い方は、海上での避航や進路変更を表す船乗り特有の表現として使われています。
この記事では、船乗り用語として使われる「かわる」「かわっていく」の意味や由来、一般的な「避ける」との違い、実際の操船場面での使われ方について詳しく解説します。
船乗りが使う「かわる」「かわっていく」の意味
船乗りが言う「かわる」は、相手船との衝突を避けるために、自船の進路を変えて相手船を避けることを意味します。漢字で表す場合は「交わる」ではなく、「躱す(かわす)」や「避ける」に近い意味で使われています。
例えば「右にかわる」「左にかわっていく」という場合は、相手船を安全に避けるために、自船が進路を変えていくことを表します。
陸上では「相手を避ける」という言い方が一般的ですが、船の場合は大きな船体がすぐには方向転換できないため、徐々に進路を変える動きを含めて「かわる」という表現が使われます。
「かわる」と「かわっていく」は意味が違うのか
「かわる」と「かわっていく」は基本的な意味は同じで、どちらも相手船との位置関係を調整するための操船を表します。ただし、ニュアンスには少し違いがあります。
| 表現 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| かわる | 相手船を避ける動作や判断そのものを表す |
| かわっていく | 徐々に進路を変えながら避航している状態を表す |
例えば「右にかわる」は「右方向へ避ける」という動作を指し、「右にかわっていく」は「右方向へ少しずつ進路を変化させながら避けている」という継続的な動きを表します。
実際の無線や船橋での会話では、その場の状況に応じてどちらも使われることがあります。
なぜ船では「避ける」ではなく「かわる」と言うのか
船舶の操船では、単純に相手を避けるだけではなく、お互いの進路や速力、距離を考慮しながら安全な位置関係を作る必要があります。
船は自動車のように急停止や急旋回ができません。そのため、「避ける」という一瞬の動作よりも、「相手船との関係を変化させる」という意味を持つ「かわる」という表現が操船感覚に合っています。
例えば大型船同士がすれ違う場合、数百メートル以上離れた段階から少しずつ舵を取り、相手船の進路から外れていきます。このような継続的な動きを「かわっていく」と表現します。
船乗り用語としての「かわす」との違い
一般的な日本語では「かわす」は、相手を避けたり、攻撃を受け流したりする意味で使われます。船舶の場面でも「かわす」という意味合いはありますが、現場では「かわる」という言葉が使われることがあります。
「かわす」は結果として相手との接近を避けるイメージが強く、「かわる」は操船によって自船の位置や針路を変える動きを表現しやすいという違いがあります。
そのため、船橋で「相手船をかわる」と言われた場合は、「相手船を安全に避けるよう針路を変える」という意味で理解するとよいでしょう。
実際の操船で使われる例
船橋内では、例えば以下のような会話が行われることがあります。
「前方から来る船が近いので、少し右にかわる」
これは「前方の船との接近を避けるため、自船を右方向へ進路変更する」という意味になります。
また、「あの船をかわっていく」という表現の場合は、「相手船との安全な距離を保ちながら、徐々に進路を変えて通過する」という意味になります。
海上交通における避航の基本との関係
船舶同士の接近では、国際的なルールである海上衝突予防法に基づいて避航動作が行われます。船員は単に感覚で避けるのではなく、相手船との関係、進行方向、速力などを判断して操船します。
その中で「かわる」という言葉は、船員同士が状況を共有するための実用的な表現として使われています。
特に大型船や商船では、少しの進路変更でも大きな距離の変化につながるため、「かわる」という表現には安全な操船判断の意味が含まれています。
まとめ|船乗り用語の「かわる」は相手船を安全に避ける操船表現
船乗りが使う「かわる」「かわっていく」は、相手船との接近を避けるために自船の進路を変えることを意味する操船用語です。
「かわる」は避航する動作を表し、「かわっていく」は徐々に進路を変えながら避けている状態を表すことが多いですが、現場では近い意味で使われています。
陸上の「避ける」と違い、船は大きな慣性を持って動くため、位置関係を調整して安全を確保するという考え方から「かわる」という表現が生まれています。船乗り独特の言葉には、海上で安全に航行するための経験や知恵が込められています。


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