線形代数学では「正則行列」「逆行列」「行列式」という言葉が頻繁に登場します。これらは互いに深く関係しており、正則行列を理解するためには、それぞれの意味を整理することが重要です。
この記事では、正則行列が逆行列を持つことや、行列式が0ではないこととの関係について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
正則行列とは何か
正則行列とは、簡単に言うと「逆行列を持つ正方行列」のことです。
ある正方行列Aに対して、Aの逆行列A⁻¹が存在し、次の関係を満たす場合、Aは正則行列と呼ばれます。
A A⁻¹ = A⁻¹ A = I
ここでIは単位行列を表します。つまり、行列Aを逆行列で打ち消すことで、元の状態に戻せる行列が正則行列です。
例えば、数の場合で考えると、2の逆数は1/2であり、2×1/2=1になります。行列における逆行列も同じように、掛け合わせると単位行列になる存在です。
正則行列と逆行列の関係
「正則ならば逆行列を持つ」という表現は正しいです。むしろ、逆行列を持つこと自体が正則行列の定義になっています。
つまり、以下の関係になります。
| 条件 | 意味 |
|---|---|
| Aが正則 | Aの逆行列が存在する |
| Aが逆行列を持つ | Aは正則である |
この2つは同じ内容を別の言い方で表しているため、「正則行列なら逆行列を持つ」は正しいと言えます。
行列式と正則行列の関係
正方行列Aについて、Aが正則であるための条件として「行列式detAが0ではない」というものがあります。
つまり、次の関係が成立します。
Aが正則 ⇔ detA≠0
逆に、行列式が0の場合、その行列は正則ではなく、逆行列を持ちません。
これは行列式が、その行列による変換が元に戻せるかどうかを判断する指標になっているためです。行列式が0になる場合、空間がつぶれてしまい、逆変換ができなくなります。
なぜ行列式が0だと逆行列が存在しないのか
行列式は、行列が表す変換による面積や体積の変化を表す量として考えることができます。
例えば2次元の場合、行列式が0であるということは、平面上の図形が一直線上につぶれてしまうような変換を意味します。
一度つぶれてしまった情報は元に戻すことができません。そのため、逆行列を作ることもできません。
例えば、2つの異なる点が同じ場所に移動してしまう変換では、変換後の情報だけを見ても元の状態を判断できないため、逆変換が不可能になります。
正則行列を判断する方法
行列が正則かどうかを調べる代表的な方法は、行列式を計算することです。
具体的には、以下のように判断します。
- detA≠0ならばAは正則で逆行列が存在する
- detA=0ならばAは正則ではなく逆行列は存在しない
例えば、2×2行列の場合、
A=(a b;c d)
であれば、行列式はad-bcで求められます。
この値が0でなければ、その行列は正則です。
まとめ
「正則ならば逆行列を持ち、かつ行列式≠0」という考え方は基本的に正しいです。
より正確に表すと、正方行列Aについて、以下の3つはすべて同値です。
- Aは正則である
- Aの逆行列が存在する
- 行列式detAが0ではない
これらは線形代数学における重要な関係であり、行列を扱う際には必ず理解しておきたい基本事項です。


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