大学化学の滴定問題解説:硝酸銀溶液の濃度計算とCl-濃度の求め方

化学

大学の化学実験では、滴定を利用した濃度の求め方や、化学反応における沈殿の形成について学びます。この問題では、硝酸銀(AgNO3)溶液を用いた滴定反応を通じて、いくつかの重要な計算問題に取り組みます。実際の計算を通して、化学反応の理解を深めましょう。

問題の概要

この問題では、次の条件が与えられています。

  • 水道水50 mLに0.4 MのK2CrO4指示薬を0.50 mL加えた。
  • この溶液を0.01 Nの硝酸銀溶液で滴定し、2.12 mLで終点に達した。
  • AgNO3のモル質量は169.9 g/mol、Cl-のモル質量は35.45 g/mol。
  • AgClのKsp(25℃)は1.8 x 10^-10、Ag2CrO4のKsp(25℃)は3.6 x 10^-12。

これに基づいて、いくつかの計算を行っていきます。

問1: 硝酸銀溶液の濃度(w/v%)を求める

まず、滴定反応で用いた硝酸銀溶液の濃度をw/v%で求める方法について説明します。

滴定においては、終点に達した時点で、反応に使用された硝酸銀のモル数がわかります。その後、溶液全体の体積に対して、質量を計算します。

滴定の計算方法

反応式は次のように示されます。

AgNO3 + K2CrO4 → Ag2CrO4 + 2KNO3

反応に基づいて、モル数を計算することができます。0.01 Nの硝酸銀溶液で2.12 mL使用した場合、そのモル数は次のように求められます。

モル数 = 濃度 (N) × 体積 (L) = 0.01 × 2.12 × 10^-3 = 2.12 × 10^-5 mol

このモル数から質量を求め、w/v%を計算します。

問2: 水道水中のCl-濃度を求める

次に、水道水中のCl-の濃度を求めます。

水道水中のCl-濃度は、硝酸銀溶液を用いて滴定した結果から求めることができます。先程求めた硝酸銀のモル数と、反応式に基づいてCl-のモル数を求めます。

Cl-濃度の計算方法

反応式により、1モルのAgNO3は2モルのCl-と反応します。そのため、求めた硝酸銀のモル数からCl-のモル数を求め、次に水道水中の濃度を求めます。

Cl-のモル数 = 2 × 2.12 × 10^-5 = 4.24 × 10^-5 mol

この値をもとに、水道水中のCl-濃度を求めます。

問3: Ag2CrO4沈殿の形成評価

最後に、Ag2CrO4の沈殿が形成されるタイミングについて考えます。終点での滴定量が過大評価されているか、過小評価されているかを判断する必要があります。

Ag2CrO4のKsp(3.6 × 10^-12)を考慮し、硝酸銀溶液を滴定した時点での濃度と溶解度積の関係を評価します。

沈殿形成の評価

もし滴定量が過大評価されている場合、Ag2CrO4の沈殿は早期に形成されるはずです。一方、過小評価されている場合、終点に達した時点ではまだ沈殿は形成されていない可能性があります。

計算結果と実際の反応の間で、反応がどのタイミングで進行するのかを理解することが重要です。

まとめ

この問題を通して、滴定を利用した濃度計算の方法や、化学反応における沈殿形成の評価方法を学びました。実際の実験においても、このような計算を通じて化学反応をより深く理解することができます。

化学の実験では、理論的な理解と実際の測定結果を照らし合わせて、反応の進行状況を把握することが大切です。

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