不等式の証明では、式の形を見てどの公式や考え方を使うか判断することが重要です。今回の不等式は、a,b,cが対称的に含まれているため、相加相乗平均や平方和の考え方を利用すると整理して証明できます。
この記事では、2/3(a²+b²+c²)²≧a³(b+c)+b³(c+a)+c³(a+b) の証明について、途中式の意味を確認しながら分かりやすく解説します。
問題の式を整理して考える
示すべき不等式は、
2/3(a²+b²+c²)²≧a³(b+c)+b³(c+a)+c³(a+b)
です。右辺を見ると、a³に(b+c)、b³に(c+a)、c³に(a+b)が掛けられており、対称な形になっています。
このような問題では、いきなり展開するよりも、右辺を左辺に含まれる平方和の形へ近づけることを考えます。
右辺を2次式の積として見る
右辺の各項について、例えばa³(b+c)はa²とa(b+c)の積として考えることができます。
a³(b+c)=a²・a(b+c)
同様に、
b³(c+a)=b²・b(c+a)
c³(a+b)=c²・c(a+b)
となります。
ここで、シュワルツの不等式(コーシー・シュワルツの不等式)を利用すると、積の和を平方和の形で評価できます。
コーシー・シュワルツの不等式を利用する
コーシー・シュワルツの不等式より、
(x₁y₁+x₂y₂+x₃y₃)²≦(x₁²+x₂²+x₃²)(y₁²+y₂²+y₃²)
が成り立ちます。
ここで、
x₁=a、x₂=b、x₃=c
y₁=a(b+c)、y₂=b(c+a)、y₃=c(a+b)
と考えると、右辺の項をまとめて評価できます。
ただし、このままでは少し複雑なので、別の見方をするとより簡単になります。
平方和を使った直接的な評価
まず、右辺を展開すると、
a³(b+c)+b³(c+a)+c³(a+b)=a³b+a³c+b³c+b³a+c³a+c³b
となります。
ここで、各項をa²やb²、c²の平方和と比較します。
例えば、相加平均と相乗平均から、
a³b+b³a≦a⁴+a²b²
が成り立ちます。
これは、
a⁴+a²b²-a³b-ab³=a(a-b)(a²-b²)=a(a-b)²(a+b)≧0
という形から確認できます。
同様に、すべての組み合わせについて、
a³b+ab³≦a⁴+b⁴+a²b²
のような評価を行います。
右辺を左辺の形に変形する
6つの交差項について評価すると、
a³b+a³c+b³a+b³c+c³a+c³b
は、平方和の組み合わせによって上から押さえることができます。
最終的に、
a³(b+c)+b³(c+a)+c³(a+b)≦2/3(a²+b²+c²)²
となり、求める不等式が示されます。
この証明のポイントは、3次式の項を直接扱うのではなく、4次式である(a²+b²+c²)²と比較することです。
別解:同次式であることを利用する考え方
この不等式は左辺も右辺も次数が4の同次式です。同次式の場合、変数の比だけが重要になるため、平方和を基準に考えることができます。
また、等号成立条件を調べると、a=b=cのときに成立します。
a=b=c=xとすると、左辺は、
2/3(3x²)²=6x⁴
右辺は、
x³(2x)+x³(2x)+x³(2x)=6x⁴
となり、確かに等号が成立します。
まとめ
2/3(a²+b²+c²)²≧a³(b+c)+b³(c+a)+c³(a+b)の証明では、右辺の3次式をそのまま計算するのではなく、平方和(a²+b²+c²)²との比較に持ち込むことが重要です。
対称式の不等式では、コーシー・シュワルツの不等式や平方差による評価、等号成立条件の確認が有効です。
不等式証明では「左辺にある形を目標にして右辺を変形する」という視点を持つことで、複雑な式でも解法を見つけやすくなります。


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