リレーを使った回路では、入力電圧や電流がある値を超えるとONになり、逆に低下するとOFFになります。しかし実際のリレーでは、ONになる条件とOFFになる条件の数値が同じではないことがあります。この違いは故障や誤差ではなく、リレーを安定して動作させるための重要な特性です。
この記事では、リレーが動作するときと復帰するときの値が異なる理由について、電磁リレーの構造やヒステリシスという現象を中心に詳しく解説します。
リレーのON値とOFF値が違う現象とは
リレーには、動作するために必要な入力値と、動作を解除するために必要な入力値があります。例えば、12V用のリレーの場合、電圧を加えて一定以上になると接点が切り替わりますが、電圧を下げたときは、それより低い値にならないと元の状態に戻りません。
具体的には、10VでONになるリレーが、OFFになるのは8V付近というように、ONとOFFで異なるしきい値を持つことがあります。
このようなONとOFFの境界に差がある特性を「ヒステリシス」と呼びます。
電磁リレーでヒステリシスが発生する理由
一般的な電磁リレーは、コイル、鉄心、可動鉄片、接点などで構成されています。コイルに電流を流すと磁力が発生し、その磁力によって可動鉄片が引き寄せられて接点が切り替わります。
リレーがONになるときは、可動鉄片を動かすために十分な磁力が必要です。そのため、コイルに流れる電流がある程度大きくならなければ動作しません。
一方、一度吸引された鉄片は、磁力が少し弱くなっても機械的な位置を保持します。そのため、OFFに戻るにはON時よりもさらに磁力が小さくなる必要があります。
磁気回路と残留磁気が影響する
リレー内部の鉄心などの磁性材料には、磁気を保持する性質があります。これを残留磁気といいます。
コイルへの電流を切った後でも、鉄心にはわずかな磁力が残ります。この磁力によって可動部分がすぐには戻らず、OFFになる電流値がON時より低くなります。
例えば、磁石を鉄に近づけると吸着する瞬間より、離す瞬間のほうが力の変化が違って感じられるのと似た現象です。
ヒステリシスが必要な理由
もしリレーのON値とOFF値が完全に同じだった場合、入力信号が少し変化しただけでリレーが何度もONとOFFを繰り返す可能性があります。
例えば、センサーから送られる電圧が10V付近でわずかに揺れている場合、ONになる電圧とOFFになる電圧が同じだと、リレーが高速で切り替わる「チャタリング」が発生します。
ヒステリシスによってONとOFFの境界に幅を持たせることで、不要な動作を防ぎ、安定した制御が可能になります。
リレー以外にも存在するヒステリシス
ヒステリシスはリレーだけの特殊な現象ではありません。電子部品や機械部品など、さまざまな分野で利用されています。
例えば、温度制御を行うサーモスタットでは、20℃でヒーターをONにし、18℃まで下がったらOFFにするというように、設定値に幅を持たせています。
この仕組みによって、温度が少し変化しただけで装置が頻繁に動作することを防いでいます。
リレーの仕様書で確認すべき項目
リレーを選定するときは、仕様書に記載されている「動作電圧(Operate Voltage)」と「復帰電圧(Release Voltage)」を確認します。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 動作電圧 | リレーがON状態になるために必要な電圧 |
| 復帰電圧 | リレーがOFF状態へ戻る電圧 |
| 動作電流 | コイルを動作させるために必要な電流 |
メーカーによって値は異なりますが、多くのリレーでは動作電圧より復帰電圧のほうが低く設定されています。
まとめ|リレーのON値とOFF値が違うのは安定動作のため
リレーがONになる値とOFFになる値が異なる理由は、電磁石の磁気特性や機械的な構造によってヒステリシスが発生するためです。
この差はリレーの不具合ではなく、チャタリングを防ぎ、安定した制御を行うために必要な特性です。
電子回路でリレーを使用する場合は、動作電圧と復帰電圧が異なることを理解して設計することで、より信頼性の高い回路を作ることができます。

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