数列の極限を証明するとき、比の極限から元の数列の収束を示す問題は、ε-N論法の理解において重要な例題です。特に「隣り合う項の比が0に近づくならば、数列そのものも0に近づく」という性質は、数列の減少速度を考えるうえでよく利用されます。
この記事では、任意のn∈Nに対してan≠0であり、lim n→∞ an+1/an=0であるとき、lim n→∞an=0をε-N論法を用いて直接証明します。
問題の条件を整理する
条件は以下の通りです。
任意の自然数nについてan≠0であり、
lim n→∞(an+1/an)=0
が成立していることを考えます。
示したいことは、
lim n→∞an=0
つまり、任意のε>0に対して、あるN∈Nが存在して、n≧Nならば
|an|<ε
となることです。
比の極限0から得られる性質
比の極限が0であるということは、定義より任意のδ>0に対して、あるN1が存在し、n≧N1ならば、
|an+1/an|<δ
となることを意味します。
ここでδとして1/2を選びます。すると、あるN1以降では、
|an+1|<(1/2)|an|
が常に成立します。
つまり、十分大きなn以降では数列の絶対値が毎回半分以下に小さくなることがわかります。
漸化式のように不等式を繰り返し利用する
n≧N1について、
|aN1+1|<(1/2)|aN1|
さらに、
|aN1+2|<(1/2)|aN1+1|
となります。
これを繰り返すと、任意のk∈Nについて、
|aN1+k|<|aN1|(1/2)k
が得られます。
つまり、N1以降の項は等比数列のように急速に0へ近づいていきます。
ε-N論法による直接証明
ここからε-N論法の形に直します。
任意のε>0を取ります。
|aN1|(1/2)k<ε
となるようなkを選べばよいことになります。
指数関数(1/2)kはk→∞で0に収束するため、このようなkは必ず存在します。
よって、あるk0∈Nが存在して、
k≧k0ならば、
|aN1+k|<ε
となります。
ここでN=N1+k0と置けば、n≧Nについて、
|an|<ε
が成立します。
したがって、定義通り、
lim n→∞an=0
が証明されました。
別解との違いについて
元の考え方のように、挟み撃ちの定理を使う方法も正しい証明です。実際、
|an|≤|aN|(1/2)n-N
のような評価を作り、右辺が0に収束することを示せば、はさみうちの原理によって結論を得られます。
ただし、ε-N論法を直接使う場合も本質は同じです。違いは、最後に「どのNを選べば任意のεに対して条件を満たすか」を明示する点にあります。
数列の極限の定義を意識するなら、今回のようにεを先に固定し、そのεを満たすためのNを構成する流れが基本的な証明方法になります。
まとめ
lim n→∞an+1/an=0ならば、十分大きなnでは隣り合う項の大きさが常に半分以下になるようにできます。
その結果、|an|は等比的に小さくなり、任意のε>0に対して|an|<εとなるNを選べるため、ε-N論法の定義から、
lim n→∞an=0
が示されます。
証明のポイントは、比の極限を「項の大きさが一定割合以下で減少する」という不等式に変換し、その減少を繰り返し利用することです。


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