ダルシー・ワイスバッハの式で管摩擦損失が圧力損失として表される理由とは?速度一定の考え方を解説

物理学

流体が管の中を流れるとき、壁との摩擦によってエネルギーが失われます。この現象を表す代表的な式がダルシー・ワイスバッハの式です。式を見ると管摩擦による損失が圧力損失として表現されているため、「摩擦による損失は圧力だけなのか」「流速は変化しないのか」と疑問に感じることがあります。この記事では、ダルシー・ワイスバッハの式が示している意味と、速度一定と考える理由についてわかりやすく解説します。

ダルシー・ワイスバッハの式とは何を表しているのか

ダルシー・ワイスバッハの式は、管内を流れる流体が摩擦によって失うエネルギーを求めるための式です。一般的には次のように表されます。

hf=λ(L/D)(v²/2g)

ここで、hfは摩擦による損失水頭、λは管摩擦係数、Lは管の長さ、Dは管径、vは流速、gは重力加速度を表します。

この式のhfは「損失水頭」と呼ばれますが、水頭は圧力と同じエネルギーの一つの表現方法です。そのため、圧力損失ΔPとして表す場合には、密度ρを用いてΔP=ρghfとなります。

管摩擦による損失が圧力損失として表される理由

管内を流れる流体は、管壁との摩擦によって運動エネルギーを失います。この失われたエネルギーは熱などに変換されますが、流れを維持するためには上流側と下流側で圧力差が必要になります。

例えば、水平なまっすぐな管の中を水が一定速度で流れている場合、入口から出口までの間に摩擦によるエネルギー損失が発生します。その分だけ出口側の圧力が低下します。

つまり、摩擦による損失そのものが圧力になるわけではありません。しかし、定常流では流体が持つエネルギーの減少を圧力の低下として観測できるため、管摩擦損失は圧力損失として扱われます。

ダルシー・ワイスバッハの式では速度は一定なのか

ダルシー・ワイスバッハの式では、基本的に管内の平均流速が一定である定常流を前提にしています。

例えば、一定の直径を持つ水平な管に水を流している場合、流体が非圧縮性であり、途中で漏れや分岐がなければ、連続の式によって流量は一定になります。

連続の式ではQ=Avで表されます。管の断面積Aが一定なら、流量Qが一定である限り平均速度vも一定になります。そのため、摩擦による圧力低下があっても、平均的な流速は変化しないと考えます。

圧力が下がっても速度が変化しないのはなぜか

「圧力が低下するなら流速も遅くなるのでは」と考えることがありますが、これは流体の流れを考える条件によって変わります。

例えば、重力やポンプによって一定の流量が供給されている管では、摩擦による圧力損失が発生しても、ポンプなどがその分のエネルギーを補っています。そのため、流速はほぼ一定に保たれます。

一方で、タンクから自然に流れ出るような場合では、液面の高さや圧力エネルギーが変化するため、流速も変化します。この場合でも、各位置でのエネルギー保存を考えればダルシー・ワイスバッハの考え方を利用できます。

管内では場所によって速度分布が存在する

注意すべき点として、ダルシー・ワイスバッハの式で使われる速度vは管断面全体の平均速度です。

実際の管内流れでは、管壁付近では摩擦の影響によって速度が遅く、中心部分では速度が速くなっています。この速度分布は層流や乱流によって異なります。

しかし、工学的な計算では流量から求めた平均速度を使用することで、管全体の摩擦損失を評価できます。

圧力損失とエネルギー損失の関係

ダルシー・ワイスバッハの式が圧力損失として利用される理由は、流体のエネルギー保存則と関係しています。

ベルヌーイの式に摩擦損失を加えると、流体が持つ圧力エネルギー、速度エネルギー、位置エネルギーの一部が摩擦によって失われることが分かります。

つまり、摩擦による損失は本質的にはエネルギー損失ですが、管内の定常流では主に圧力の低下として現れるため、圧力損失として計算されるのです。

まとめ:ダルシー・ワイスバッハの式は摩擦によるエネルギー低下を圧力で表している

ダルシー・ワイスバッハの式で管摩擦損失が圧力損失として扱われるのは、摩擦によって失われた流体エネルギーが、定常流では圧力低下として現れるためです。

また、式で使用される速度は平均流速であり、一定断面の管を流れる非圧縮性流体では流量保存の関係から一定と考えられます。

ただし、流量が変化する場合や管径が変わる場合、圧縮性流体の場合などでは速度も変化するため、条件に応じてエネルギー保存則を用いて考える必要があります。

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