関数 f(x)=(arcsin x)^2 のような複雑な関数について、n階導関数 f⁽ⁿ⁾(0)を求める問題では、何度も微分を繰り返す方法よりも、テイラー展開を利用する方法が有効です。
特に逆三角関数を含む関数では、導関数を直接計算すると式が非常に複雑になります。そのため、0のまわりでの級数展開から係数を読み取ることで、高階導関数を効率よく求めることができます。
f(x)=(arcsin x)^2の高階導関数を求める基本方針
n階導関数 f⁽ⁿ⁾(0)を求めるとき、テイラー展開の公式を利用します。
一般に、関数f(x)が0のまわりで展開できる場合、
f(x)=f(0)+f'(0)x+\frac{f”(0)}{2!}x^2+\frac{f”'(0)}{3!}x^3+…
と表せます。
つまり、xⁿの係数が分かれば、その係数にn!を掛けることでf⁽ⁿ⁾(0)を求めることができます。
今回の関数では、arcsin xの展開を利用して考えます。
arcsin xのマクローリン展開を確認する
逆正弦関数arcsin xは、|x|<1の範囲で次のように展開できます。
arcsin x=x+\frac{x^3}{6}+\frac{3x^5}{40}+\frac{5x^7}{112}+…
ここで重要なのは、arcsin xには奇数乗の項だけが現れるという点です。
したがって、(arcsin x)^2を考えると、奇数次同士の積になるため、偶数乗だけを含む関数になります。
つまり、f(x)=(arcsin x)^2は偶関数であり、奇数階の導関数は0になることが分かります。
(arcsin x)^2の展開を求める
arcsin xの展開を2乗します。
arcsin x=x+\frac{x^3}{6}+\frac{3x^5}{40}+…
なので、
(arcsin x)^2=\left(x+\frac{x^3}{6}+\frac{3x^5}{40}+…\right)^2
となります。
最初の数項を計算すると、
(arcsin x)^2=x^2+\frac{1}{3}x^4+\frac{8}{45}x^6+…
となります。
したがって、f(x)のマクローリン展開は
f(x)=x^2+\frac{1}{3}x^4+\frac{8}{45}x^6+…
の形になります。
f⁽ⁿ⁾(0)を求める方法
マクローリン展開では、
f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n
です。
したがって、xⁿの係数を確認することでf⁽ⁿ⁾(0)が求まります。
今回の場合、展開には偶数次の項しか存在しません。そのため、
f⁽²ᵏ⁺¹⁾(0)=0
となります。
一方、偶数階については、展開係数に階乗を掛ければ求められます。
例えば、
f(x)=x^2+\frac{1}{3}x^4+\frac{8}{45}x^6+…
より、
f”(0)=2!×1=2
f⁽⁴⁾(0)=4!×\frac{1}{3}=8
f⁽⁶⁾(0)=6!×\frac{8}{45}=128
となります。
直接微分ではなく展開を使う理由
f(x)=(arcsin x)^2を直接微分すると、1階微分までは比較的簡単ですが、2階、3階と進むにつれて式が複雑になります。
例えば、
f'(x)=2\arcsin x\cdot\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}
となりますが、さらに微分すると積の微分や合成関数の微分が何度も現れます。
一方で、テイラー展開を利用すれば、必要な次数まで展開するだけで高階導関数の値を直接読み取ることができます。
このように、特定の点での高階導関数を求める問題では、展開を利用する方が効率的な場合が多くあります。
偶関数・奇関数の性質を利用するとさらに簡単になる
今回の問題では、関数の対称性を利用することも重要です。
arcsin xは奇関数なので、
arcsin(-x)=-arcsin x
となります。
その2乗である(arcsin x)^2は、
(arcsin(-x))^2=(arcsin x)^2
となるため、偶関数です。
偶関数のマクローリン展開では奇数次の項が存在しません。そのため、奇数階の導関数はすべて0になります。
この性質を先に確認しておくことで、計算量を大幅に減らすことができます。
まとめ:f(x)=(arcsin x)^2のf⁽ⁿ⁾(0)は展開から求める
f(x)=(arcsin x)^2のn階導関数f⁽ⁿ⁾(0)を求める場合、直接微分を繰り返すよりも、arcsin xのマクローリン展開を利用する方法が効果的です。
ポイントは以下の3点です。
- arcsin xを展開してから2乗する
- マクローリン展開の係数とn階導関数の関係を利用する
- 偶関数であることから奇数階の導関数が0になることを利用する
高階微分の問題では、必ずしも何度も微分する必要はありません。関数の性質やテイラー展開を利用することで、複雑な計算を整理して解くことができます。

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