犬の慢性膵炎では、消化酵素を分泌する外分泌機能だけでなく、インスリンを分泌する内分泌機能まで低下することがあります。一見別機能に見える両者が同時に障害される理由は、膵臓の構造と慢性炎症の進行パターンにあります。本記事ではそのメカニズムを整理して解説します。
膵臓の外分泌と内分泌の基本構造
膵臓は大きく「外分泌部(腺房細胞)」と「内分泌部(ランゲルハンス島)」に分かれています。
外分泌部は消化酵素を、内分泌部はインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌します。
これらは機能的に異なりますが、膵臓という同一臓器内で密接に配置されています。
慢性膵炎による組織破壊の進行
慢性膵炎では長期間の炎症により、膵組織が徐々に破壊され線維化が進行します。
炎症は外分泌組織から始まりやすいものの、進行すると周囲組織へ拡大します。
その結果、正常な膵実質が減少していきます。
外分泌機能低下が先行しやすい理由
外分泌部は膵臓の大部分を占めており、炎症の影響を受けやすい構造です。
消化酵素の自己消化作用も炎症を悪化させる要因となります。
そのため慢性膵炎ではまず外分泌不全(消化不良など)が目立ちます。
内分泌機能低下が起こる理由
慢性炎症が進行すると、ランゲルハンス島も線維化や炎症の影響を受けます。
特にβ細胞が障害されるとインスリン分泌が低下し、糖尿病を併発することがあります。
外分泌組織と内分泌組織が近接しているため、病変が波及しやすい点が重要です。
外分泌・内分泌が同時に障害される本質
慢性膵炎の本質は「局所的炎症」ではなく「膵全体の進行性線維化」です。
そのため外分泌機能と内分泌機能は独立して守られるのではなく、同時に低下し得ます。
特に進行例では外分泌不全と糖尿病が併発することが臨床的特徴となります。
まとめ
犬の慢性膵炎で外分泌と内分泌機能が同時に低下するのは、炎症が膵臓全体へ進行し線維化が広がるためです。
外分泌部だけでなくランゲルハンス島も巻き込まれることで、消化障害と内分泌障害が併発します。
この構造的特徴を理解することは、病態把握と治療戦略の両方に重要です。


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