分子軌道法では、原子同士が結合して分子を作るかどうかを「電子がどの軌道に入るか」で説明します。本記事では、ヘリウム分子(He₂)がなぜ安定に存在しないのかを、分子軌道の基本から順に整理して解説します。
分子軌道法の基本:結合軌道と反結合軌道
分子軌道法では、原子軌道が重なり合うことで新しい軌道が形成されます。
このとき、エネルギーが低く安定な「結合性軌道」と、エネルギーが高く不安定な「反結合性軌道」ができます。
電子は低エネルギー側から順に配置され、その結果として分子の安定性が決まります。
ヘリウム原子の電子配置と分子軌道への影響
ヘリウム原子は電子を2個持ち、どちらも1s軌道に入っています。
ヘリウム原子2つが近づくと、合計4個の電子が分子軌道に配置されることになります。
この電子配置が、結合の成立に大きく関係します。
He₂における電子配置と結合次数の計算
ヘリウム2原子が結合すると、σ1s(結合軌道)とσ1s*(反結合軌道)が形成されます。
4個の電子は、結合軌道と反結合軌道にそれぞれ配置されます。
結合次数は「(結合電子数 − 反結合電子数) ÷ 2」で求められます。
この場合、結合電子数と反結合電子数が同じになるため、結合次数は0になります。
なぜヘリウム分子は安定しないのか
結合軌道と反結合軌道が完全に打ち消し合うため、エネルギー的な安定化が起こりません。
その結果、原子同士が結合しているよりも、バラバラの状態の方が安定になります。
したがって、He₂は安定な分子としては存在できず、極めて短時間の相互作用にとどまります。
まとめ
ヘリウム分子が安定に存在しない理由は、分子軌道法において結合軌道と反結合軌道の電子数が等しく、結合次数が0になるためです。
そのためエネルギー的な安定化が起こらず、分子として維持されることはありません。
分子軌道法を用いることで、このような「存在しない理由」も定量的に説明することができます。


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