犬の僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)では、心室性不整脈よりも上室性不整脈が多く見られることがあります。この違いは偶然ではなく、心臓の構造変化や電気伝導の仕組みに関係しています。本記事ではその理由をわかりやすく整理します。
僧帽弁閉鎖不全症とはどんな病気か
僧帽弁閉鎖不全症は、左心房と左心室の間にある僧帽弁がしっかり閉じなくなる病気です。
その結果、血液が逆流し、左心房に負担がかかり拡大していきます。
小型犬で特に多い心疾患として知られています。
上室性不整脈が起こりやすい理由
上室性不整脈は心房(上室)由来の不整脈です。
僧帽弁閉鎖不全症では左心房が拡大するため、心房筋が引き伸ばされ電気的な異常が起こりやすくなります。
この構造変化が上室性不整脈の主な原因です。
心房拡大と電気的リモデリング
心房が拡大すると、心筋細胞の配列や電気伝導速度が変化します。
これを電気的リモデリングと呼び、興奮伝導が不安定になることで不整脈が発生しやすくなります。
特に心房細動などの上室性不整脈が起こりやすくなります。
なぜ心室性不整脈は比較的少ないのか
心室性不整脈は主に心室筋そのものの異常や虚血などで発生します。
僧帽弁閉鎖不全症の初期〜中期では心室自体の構造変化が比較的軽度であることが多いです。
そのため、心房由来の不整脈ほど頻繁には発生しません。
病態進行と不整脈の関係
病気が進行し心不全が悪化すると、心室にも負荷がかかり心室性不整脈が増えることがあります。
しかし初期段階では左心房の変化が中心となるため、上室性不整脈が優位になります。
つまり病期によって不整脈の種類は変化します。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症では左心房の拡大とリモデリングにより上室性不整脈が起こりやすくなります。
一方で心室性不整脈は心室自体の障害が強くならない限り比較的少ない傾向があります。
心臓の構造変化を理解することで不整脈の背景がより明確になります。


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