犬の肥満によるインスリン抵抗性と慢性炎症の分子機序と代謝変化

生物、動物、植物

犬の肥満は、単なる体重増加ではなく、代謝や内分泌機能に深刻な影響を与えることが知られています。特に脂肪組織は、エネルギーの貯蔵庫であるだけでなく、炎症性サイトカインやアディポカインを分泌する内分泌臓器として機能し、インスリン抵抗性や慢性炎症を引き起こすメカニズムに関与します。

脂肪組織の内分泌機能

肥満時、脂肪細胞(アディポサイト)は拡大し、TNF-α、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカインを過剰に分泌します。また、アディポネクチンの分泌は減少し、インスリン感受性が低下します。これらの変化は、脂肪組織内のマクロファージや免疫細胞の活性化とも関連しています。

インスリン抵抗性の分子機序

炎症性サイトカインは、脂肪組織や肝臓、筋肉のインスリン受容体下流のシグナル伝達経路を阻害します。具体的には、IRS-1(インスリン受容体基質)のセリンリン酸化が促進され、PI3K/Akt経路が抑制されることで、グルコース取り込みや糖代謝が低下します。

慢性炎症と代謝経路の変化

肥満による慢性炎症は、脂肪酸代謝や糖代謝にも影響を及ぼします。脂肪細胞から遊離脂肪酸(FFA)が増加し、肝臓でのトリグリセリド合成が亢進、血中脂質異常や非アルコール性脂肪肝のリスクが高まります。また、マクロファージが誘導され、炎症性サイトカインの自己増幅ループが形成されます。

まとめ

犬の肥満は、脂肪組織が単なるエネルギー貯蔵庫でなく内分泌臓器として作用することで、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインの増加、アディポネクチンの低下、IRS-1/PI3K/Akt経路の阻害、遊離脂肪酸の増加といった分子機序が連鎖的に進行します。これにより、インスリン抵抗性や慢性炎症が引き起こされ、代謝異常のリスクが高まります。

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