VE(Value Engineering:バリューエンジニアリング)では、「価値=機能÷コスト」という有名な式が使われます。しかし、コストは金額で表せても、機能をどのように数値化するのか疑問に感じる人は少なくありません。実際のVE活動では、機能そのものに絶対的な数値を与えるのではなく、比較評価や重要度評価によって機能価値を定量化することが一般的です。この記事ではVEにおける機能の数値化方法とコスト評価の考え方を解説します。
VEにおける「機能」とは何か
VEでいう機能とは、製品やサービスが果たす役割のことです。例えば椅子なら「座る」、照明なら「照らす」、外壁なら「雨を防ぐ」が基本機能になります。
VEではまず対象物の機能を「動詞+名詞」で表現します。これを機能定義と呼びます。
| 対象 | 機能表現 |
|---|---|
| 椅子 | 体を支える |
| 窓 | 光を通す |
| 屋根 | 雨を防ぐ |
| 断熱材 | 熱を遮る |
VEは製品そのものではなく、この機能に着目して改善案を検討します。
機能は絶対値ではなく相対評価で数値化する
実はVEで使われる機能の数値には統一された計算式はありません。多くの場合、関係者による評価や比較によって点数化されます。
例えば機能評価点を100点満点で配分する方法があります。
| 機能 | 重要度 | 評価点 |
|---|---|---|
| 雨を防ぐ | 非常に重要 | 50点 |
| 断熱する | 重要 | 30点 |
| 見栄えを良くする | やや重要 | 20点 |
このように機能の重要度を数値化し、コストとの比較を行います。
機能評価の代表的な手法
VE実務では機能分析システム技法(FAST図)や機能評価法が利用されます。
代表的な方法としては以下があります。
- ペア比較法(機能同士を比較して重要度を決定)
- 重み付け評価法
- 100点配分法
- AHP法(階層分析法)
例えば「強度を確保する」と「軽量化する」を比較し、どちらが重要かを関係者全員で評価して点数化します。
コストは単純な購入金額ではない場合もある
VEの式におけるコストは、単なる材料費や購入費だけを指すとは限りません。
一般的にはライフサイクルコスト(LCC)の考え方が重視されます。
| コスト項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期コスト | 購入費・施工費 |
| 維持管理費 | 点検費・補修費 |
| 運用費 | 電気代・燃料費 |
| 更新費 | 交換費・撤去費 |
そのため初期費用が高くても維持費が安ければ、VE上は価値が高いと評価される場合があります。
具体例:外装材をVEで評価する場合
例えば外装パネルAとBを比較するとします。
| 項目 | A | B |
|---|---|---|
| 機能評価点 | 90 | 80 |
| 総コスト | 120万円 | 80万円 |
価値指数を単純に計算すると、Aは0.75、Bは1.00となります。
この場合、機能はやや劣るもののコスト効率が高いBの方がVE上の価値が高いと判断される可能性があります。
つまりVEは「最も安いもの」を選ぶ手法ではなく、「必要な機能を最も効率よく実現する方法」を探す活動なのです。
機能の数値化過程が分かる資料はあるのか
機能評価の具体的な手順を学ぶなら、日本VE協会が公開しているVE資料やVEリーダー資格向けテキストが参考になります。
また製造業や建設業のVE事例集では、FAST図の作成から機能評価点の算出までの流れが掲載されていることがあります。
重要なのは、機能の数値が物理量として存在するわけではなく、意思決定のための評価指標として作られている点を理解することです。
まとめ
VEの「価値=機能÷コスト」における機能は、長さや重量のような絶対的な数値ではありません。機能分析を行った上で、重要度や比較評価によって点数化されることが一般的です。
一方、コストも単なる購入金額ではなく、維持管理費や更新費を含めたライフサイクルコストで評価される場合があります。
VEは数学的な公式というよりも、機能とコストを客観的に比較するための意思決定手法です。そのため、機能の数値化は評価手法の設計そのものが重要なプロセスとなります。

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