高校の古典の問題で出てくる「悲しかりけむ。」の「けむ」についての疑問を解決するために、この表現の使い方や文法的な背景を詳しく解説します。質問者のように、「。」がついているので終止形だと思うかもしれませんが、実はこの文法は「連体形」の一部として使われており、その理由について説明します。
「けむ」の基本的な意味と使い方
まず、「けむ」という形は、古典文学における「過去推量」の助動詞「けむ」の連体形です。「けむ」は、過去の出来事に対して「〜だっただろう」「〜だったに違いない」という意味を表現します。「悲しかりけむ」の場合、この「けむ」は「悲しかっただろう」と推測するニュアンスを加えます。
現代日本語の「〜だった」のように、過去を示す動詞と一緒に使われることが多く、連体形が使用される理由は、この言葉が後ろの名詞に繋がっていくからです。例えば、「悲しかりけむ心のうち」といった形で、「心のうち」に続く連体形として用いられています。
なぜ終止形ではなく連体形なのか
質問者が疑問に思っている点は「。」が付いているので終止形ではないかということですが、実は「けむ」が連体形である理由は、後に続く名詞(この場合は「心のうち」)に繋がる必要があるためです。連体形は、名詞を修飾する役割を果たすため、「けむ心」となり、後ろに名詞が来る形になります。
もし、「けむ」を終止形で使うなら、「悲しかりけむ。」のように名詞に続かず単独で終わることができません。そのため、連体形が選ばれているというわけです。
「けむ」が示す過去推量のニュアンス
また、もう一つのポイントは「けむ」が過去推量の助動詞であるという点です。現代語で言うと「だっただろう」とか「〜したのだろう」という意味合いです。このように、「けむ」が使われることで、話し手が過去の出来事について推測や予想をしていることが表現されます。
この文の場合、「悲しかりけむ」と言うことで、話し手は「その人は悲しかっただろう」という推測を述べていることになります。この推測が語られる場面としては、何かの出来事を回顧し、その時に相手がどのような心情だったかを推し量るような状況です。
まとめ:連体形としての「けむ」の使い方
「悲しかりけむ。」の「けむ」は、過去推量の助動詞「けむ」の連体形です。名詞「心のうち」に続けるために、連体形が使われているのです。また、「けむ」は過去の出来事に対する推測を示しており、「その時、悲しかっただろう」といった意味を表現しています。このように、古典文学における文法や言葉の使い方には、現代語とは異なるルールがあることを理解することが重要です。
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