函数論では、多価関数である z^(1/3) や log z を扱う際に「分枝(branch)」という考え方が登場します。試験や演習では各分枝の導関数を求める問題が頻出ですが、分枝ごとに定数項だけが異なる場合が多く、微分の計算自体は比較的簡単です。この記事では z^(1/3) と log z の各分枝の導関数の求め方を詳しく解説します。
分枝とは何か
複素数 z を極形式で表すと、z=re^(iθ) と書けます。
しかし偏角 θ は θ+2πk(kは整数)としても同じ複素数を表します。そのため、べき根や対数は複数の値を持つ多価関数になります。
その中から偏角の範囲を限定して1つの値を選んだものを分枝と呼びます。
z^(1/3) の各分枝 φk(z)
z=re^(iθ) とすると、z^(1/3) の各分枝は
φk(z)=r^(1/3)e^(i(θ+2πk)/3) (k=0,1,2)
と表されます。
これは定数 e^(2πik/3) を用いて
φk(z)=e^(2πik/3)z^(1/3)
と書くこともできます。
一次導関数 φk'(z)
定数倍はそのまま残るので、べき関数の微分公式を使えば
φk'(z)=e^(2πik/3)・(1/3)z^(-2/3)
となります。
すなわち
φk'(z)=(1/3)e^(2πik/3)z^(-2/3)
二次導関数 φk”(z)
さらに微分すると
φk”(z)=e^(2πik/3)・(1/3)・(-2/3)z^(-5/3)
したがって
φk”(z)=-(2/9)e^(2πik/3)z^(-5/3)
log z の各分枝 φk(z)
複素対数関数は
log z=log r+i(θ+2πk)
と表されます。
したがって各分枝は
φk(z)=Log z+2πik
と書けます。
ここで Log z は主値対数です。
φk'(z) の計算
2πik は定数なので微分すると消えます。
一方、Log z の導関数は
(Log z)’=1/z
です。
よって全ての分枝について
φk'(z)=1/z
となります。
なぜ分枝が違っても導関数が同じになるのか
log z の各分枝の違いは 2πik という定数だけです。
微分は関数の変化率を調べる操作であり、定数を足しても変化率は変わりません。
そのため、どの分枝を選んでも導関数は同じ 1/z になります。
一方、z^(1/3) の場合は分枝ごとに e^(2πik/3) という定数倍が異なるため、その定数が導関数にも残ります。
試験でよく使うまとめ
| 関数 | 導関数 | 二次導関数 |
|---|---|---|
| φk(z)=e^(2πik/3)z^(1/3) | (1/3)e^(2πik/3)z^(-2/3) | -(2/9)e^(2πik/3)z^(-5/3) |
| φk(z)=Log z+2πik | 1/z | -1/z² |
まとめ
z^(1/3) の分枝は φk(z)=e^(2πik/3)z^(1/3) と表せるため、微分ではその定数因子が残ります。その結果、φk'(z)=(1/3)e^(2πik/3)z^(-2/3)、φk”(z)=-(2/9)e^(2πik/3)z^(-5/3) となります。
一方、log z の各分枝は主値対数に定数 2πik を加えた形なので、微分すると定数部分が消え、全ての分枝で φk'(z)=1/z が成立します。分枝の違いが「定数加算」なのか「定数倍」なのかを見抜くことが、函数論の微分計算では重要なポイントです。


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