「もし上空12000mからおしっこをしたら、地面に着く頃には氷になるのか?」という疑問は、一見くだらないようでいて、実は気温・気圧・蒸発・空気抵抗など、さまざまな物理現象が関係する面白いテーマです。
飛行機が飛ぶ高度である約12000m付近は非常に寒く、外気温はマイナス50℃前後になることもあります。
では、その環境で液体を放出すると、本当に「氷のつぶて」や「雹」のようになるのでしょうか。この記事では、空中で起きる変化を順番に整理していきます。
上空12000mはどれくらい寒いのか
旅客機が飛ぶ高度である約10000〜12000mは、対流圏上部と呼ばれる領域です。
この高さでは気温が非常に低く、一般的にマイナス40〜60℃程度になります。
| 高度 | おおよその気温 |
|---|---|
| 地上 | 20℃前後 |
| 5000m | -15℃前後 |
| 10000m | -50℃前後 |
| 12000m | -55℃前後 |
そのため、水分は急速に冷やされる環境にあります。
実際には「凍る前に細かく分散」しやすい
しかし、単純に「寒いから巨大な氷の塊になる」とは限りません。
高速の気流や空気抵抗によって、液体はすぐに細かい粒へと分裂します。
つまり、放出された液体は一つの塊のまま落ちるのではなく、霧状や飛沫状になりやすいのです。
これは、雨粒が空中で分裂する現象に少し似ています。
しかも上空は空気が乾燥しているため、蒸発もかなり進みます。
凍る可能性はあるが「雹サイズ」にはなりにくい
細かい粒になった水分は、急速に冷やされて凍結する可能性があります。
ただし、その多くは小さな氷粒や霜のような状態になります。
一般的な雹(ひょう)は、積乱雲の中で上昇気流に何度も持ち上げられながら氷が成長してできます。
一方、単純に落下するだけでは、雹のような大きな氷塊に育つ条件がありません。
つまり、「氷っぽくなる可能性はあるが、巨大な氷の弾にはなりにくい」というのが実際に近いです。
地面まで届く前にどうなるのか
実は、高高度から落ちる小さな水滴や氷粒は、途中でかなり蒸発・昇華します。
特に粒が小さいほど表面積が大きくなるため、空気中で消えやすくなります。
これは「雨が地面に届く前に消える」蒸発現象と似ています。
砂漠地帯では、空中で雨が消えてしまう「ヴァージャ」という現象も知られています。
そのため、実際にはかなりの割合が途中で消散すると考えられます。
航空機ではどう処理されているのか
現代の旅客機では、トイレの排泄物はタンクに回収されます。
そのため、通常飛行中に外へ直接放出されることはありません。
過去には、タンクの漏れによって青い氷状物質が落下した事例が報告されたことがあります。
これは俗に「ブルーアイス」と呼ばれています。
ただし、現在の航空機では厳重に管理されており、非常に稀なケースです。
「寒い=即凍る」ではない理由
液体が凍るには、単に温度が低いだけでなく、熱の移動や粒の大きさも関係します。
例えば、大きな水滴は内部まで凍るのに時間がかかります。
また、尿には塩分や尿素などが含まれるため、純水よりも凍りにくい性質があります。
このため、空中では「一部凍る・一部蒸発する・一部液体のまま」という複雑な変化が同時に起きます。
まとめ
上空12000mは非常に低温なので、放出された液体が凍結する可能性は十分あります。
しかし実際には、空気抵抗による分裂や蒸発の影響が大きく、雹のような大きな氷塊になるとは限りません。
多くの場合は、細かな氷粒・霧状粒子・蒸発による消散が中心になると考えられます。
「そのまま巨大な氷の弾になって落ちてくる」というより、「細かく分散しながら凍ったり消えたりする」が実際の物理現象に近いイメージです。


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