十訓抄「大江山」の『丹後に下りけるほどに』の「下る」は何活用?四段活用と上二段活用の違いを解説

文学、古典

古文を勉強していると、「この動詞は何活用なのか」で混乱することがあります。特に『十訓抄』の「大江山」に出てくる「丹後に下りけるほどに」の「下る」は、授業では上二段活用と習ったのに、辞書やネットでは四段活用と書かれていて戸惑う人も少なくありません。

この記事では、「下る」がなぜ複数の活用で出てくるのか、今回の文章ではどちらが正しいのかを分かりやすく整理します。

「下る」には複数の活用が存在する

まず結論から言うと、「下る(くだる)」という動詞には、古文で複数の活用があります。

活用 意味
ラ行四段活用 都から地方へ行く・下って行く 京を下る
ダ行上二段活用 位置を低くする・下げる系の意味 位を下る

つまり、「下る」という語そのものが一種類ではないのです。

『丹後に下りけるほどに』はどちら?

『十訓抄』の「丹後に下りけるほどに」の「下り」は、ラ行四段活用の「下る」です。

理由は、「都から地方へ向かう」という意味で使われているからです。

古文では、京都から地方へ行くことを「下る」と表現することが非常に多くあります。

つまり、この場合は「丹後へ向かって行った時に」という意味になります。

なぜ授業で上二段と言われることがあるのか

これは、「下る」という言葉に別の活用が存在するため、混同しやすいからです。

例えば、

  • 位を下げる
  • 評価を低くする
  • 位置を下へ移す

といった意味では、上二段活用として扱われることがあります。

そのため、単純に「下る=上二段」と覚えてしまうと、文脈によって誤判定してしまいます。

古文の活用は「意味」で見分けるのが重要

古文では、同じ読み方でも活用が異なる動詞が少なくありません。

そのため、活用を判断する時は「意味」と「活用形」の両方を見る必要があります。

今回の「下りける」は、

「下り」+「ける」

となっています。

ここで「下り」は連用形ですが、ラ行四段活用なら連用形は「下り」となるため、文法的にも一致します。

四段活用と上二段活用の見分け方

古文が苦手な人は、まず活用表を確認すると理解しやすくなります。

活用種類 未然形 連用形 終止形
ラ行四段
ダ行上二段

今回の「下り」は連用形が「り」になっているため、ラ行四段活用だと判断できます。

このように、活用表を照らし合わせると混乱しにくくなります。

古文では「京から地方へ行く」が重要な感覚

古文では、「都(京都)」を基準にして方向を表現することが多いです。

そのため、京都から地方へ行く場合は「下る」、逆に京都へ向かう場合は「上る」が使われます。

現代語感とは少し違うので、最初は違和感を覚える人もいます。

しかし、この感覚を覚えると古文読解がかなり楽になります。

まとめ

『十訓抄』の「丹後に下りけるほどに」の「下る」は、ラ行四段活用が正解です。

「都から地方へ向かう」という意味で使われており、活用形も「下り」となっているため、四段活用と判断できます。

一方で、「下る」には上二段活用の別語も存在するため、辞書や授業で混乱しやすいのが原因です。

古文では、単に語形だけでなく、「どういう意味で使われているか」を確認することが、活用判別の大切なポイントになります。

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