モーノポンプ(モーノ式ポンプ・一軸偏心ねじポンプ)は、回転数に比例して一定流量を送れる「定量移送性」が大きな特徴です。しかし現場では、特定の周波数だけ流量が不安定になったり、脈動や振動が急に増えるケースがあります。
特にインバータ制御を行っている設備では、「16Hzだけ不安定」「ある回転域だけ異音が出る」といった現象は珍しくありません。
この記事では、モーノポンプが特定周波数だけ不安定になる原因として考えられる、共振・キャビテーション・インバータノイズ・機械的問題などを整理して解説します。
モーノポンプは本来「回転数=流量」になりやすい
モーノポンプは容積式ポンプの一種で、ローターとステーターの隙間容積を利用して液体を移送します。
そのため理論上は、
- 回転数が一定
- 滑り量が一定
- 吸込条件が安定
していれば、かなり安定した流量になります。
つまり、「16Hzだけ不安定」という場合は、単純な性能不足よりも、特定条件で何かが共振・干渉している可能性が高いです。
最も多いのは「機械的共振」
実際の現場で非常に多いのが、配管・架台・ローター系の共振です。
例えば16Hz運転時に、
- 配管支持
- ベース架台
- カップリング
- 減速機
- 偏心運動
などの固有振動数と一致すると、急激に振動が増えることがあります。
特定周波数だけ症状が出る場合、電気ノイズより「共振」の方が現場では多い傾向があります。
特にモーノポンプは偏心運動を伴うため、低周波域で振動が強調されやすい特徴があります。
インバータ制御によるトルク脈動も原因になる
インバータ駆動の場合、低周波域ではモーターのトルク脈動が発生することがあります。
特に16Hz前後は、
- 低速トルク不足
- ベクトル制御不安定
- PWMノイズ影響
- 回転ムラ
などが出やすい領域でもあります。
その結果、回転数自体が微妙に揺れ、流量変動として現れることがあります。
古いインバータやセンサレス制御では、この現象が比較的起きやすいです。
電気的ノイズの可能性はゼロではない
質問にある「電気的ノイズ」も可能性としてはあります。
例えば、
- インバータ配線のシールド不良
- アース不良
- ノイズ混入
- 流量計信号異常
などです。
ただし、純粋な流量そのものが不安定なのか、「流量計表示だけが暴れている」のかで原因は変わります。
もし表示だけ不安定なら、ノイズによる計装誤差の可能性があります。
逆に、配管振動や吐出脈動を伴うなら、機械的問題の可能性が高くなります。
キャビテーションや吸込条件悪化も要注意
低周波数運転では一見負荷が軽そうですが、実際には吸込条件との兼ね合いで不安定になることがあります。
例えば、
- 高粘度液
- エア混入
- 吸込不足
- 気泡発生
などです。
モーノポンプは空運転や気泡に弱いため、特定回転域で内部滑りや脈動が増えることがあります。
特に液体粘度が高い設備では、低速時だけ挙動が変わるケースもあります。
16Hz付近だけ問題なら「避ける運転」も現実的
現場では、原因究明と同時に「問題周波数を避ける」という運用もよく行われます。
例えば、
- 15Hz以下にする
- 17Hz以上にする
- 加減速を早く通過する
などです。
実際、回転機械では「共振点を避ける」のは一般的な対策です。
大型ファンやブロワでも、禁止回転数帯を設定している設備は珍しくありません。
確認するとよいチェック項目
原因切り分けには、以下の確認が有効です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 振動 | 16Hzだけ急増するか |
| 電流値 | 変動やハンチングがあるか |
| 流量計 | 表示だけ乱れていないか |
| 配管 | 共振・接触がないか |
| インバータ | 制御方式やキャリア周波数 |
可能なら振動計やFFT解析を行うと、共振周波数が見える場合があります。
まとめ
モーノポンプが16Hzだけ流量不安定になる場合、現場経験上は「機械的共振」がかなり有力です。
一方で、インバータ低速制御・トルク脈動・電気ノイズ・吸込条件悪化なども関係することがあります。
特に「特定周波数だけ」という症状は、回転系や配管系の固有振動数と一致しているケースが多く、単純なポンプ故障とは限りません。
まずは「本当に流量が乱れているのか」「表示だけなのか」を切り分け、その上で振動・電流・配管状態を確認すると原因特定につながりやすくなります。


コメント