1977年に打ち上げられたボイジャー1号と2号は、人類史上もっとも遠くまで到達した探査機として知られています。木星や土星、さらに天王星や海王星の観測を成功させた後も飛行を続け、現在は太陽系の外縁部を進んでいます。
しかし、半世紀近く宇宙を飛び続けているため、「いつまで動き続けるのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、ボイジャー探査機の電源の仕組みや寿命、現在の状態、将来どうなるのかについて詳しく解説します。
ボイジャー1号・2号は今も動いている
ボイジャー1号と2号は、2020年代後半になった現在でも地球との通信を続けています。
特にボイジャー1号は地球から最も遠い人工物であり、現在は太陽圏を抜けて恒星間空間を飛行中です。
通信には片道20時間以上かかるほど離れており、送信された電波が地球へ届くまで非常に長い時間が必要です。
それでもNASAは、巨大なアンテナを用いて現在もデータ受信を行っています。
なぜ50年近く動けるのか
ボイジャー探査機が長寿命なのは、太陽電池ではなく「原子力電池」を使用しているためです。
正式にはRTG(放射性同位体熱電気転換器)と呼ばれ、プルトニウム238が出す熱を電力に変換しています。
太陽から非常に遠い宇宙空間では太陽光が弱すぎるため、通常の太陽電池では十分な発電ができません。
そのため、宇宙探査では原子力電池が重要な役割を果たしています。
| 探査機 | 打ち上げ年 | 現在の状態 |
|---|---|---|
| ボイジャー1号 | 1977年 | 通信継続中 |
| ボイジャー2号 | 1977年 | 通信継続中 |
問題は電力不足
ただし、原子力電池は永久に電気を生み出せるわけではありません。
プルトニウムの放射能は徐々に弱くなるため、発電量は毎年少しずつ減少しています。
NASAは電力を節約するため、不要になった観測機器を順番に停止してきました。
例えばヒーターや一部のセンサーを止めることで、最低限の通信と観測だけを維持しています。
つまり現在のボイジャーは、「限界まで省エネ運転を続けている状態」と言えます。
いつ通信が終わるのか
現在の予測では、ボイジャー1号・2号ともに2030年前後には科学観測が難しくなると考えられています。
さらに電力低下が進むと、通信機そのものを維持できなくなります。
完全に通信不能になる時期は機器の状態次第ですが、2030年代には沈黙する可能性が高いと言われています。
ただし、宇宙空間を飛び続けること自体は止まりません。
通信が終わっても、ボイジャーは慣性によって永遠に近い時間、銀河空間を漂い続けます。
通信が終わっても「消える」わけではない
ボイジャー探査機には、人類文明を紹介する「ゴールデンレコード」が搭載されています。
これは地球の音楽や言語、自然音などを記録した円盤で、もし未来に異星文明が発見した場合、人類からのメッセージになるかもしれないという構想です。
つまりボイジャーは単なる探査機ではなく、「宇宙へ送り出された人類の記録」でもあります。
通信が途絶えた後も、人類の痕跡として宇宙空間を旅し続ける存在なのです。
今後ボイジャーはどこへ向かうのか
ボイジャー1号は現在、へびつかい座方向へ進んでいます。
一方、ボイジャー2号は別方向へ飛行しています。
ただし宇宙は非常に広大なため、近い恒星へ到達するだけでも数万年以上かかります。
例えばボイジャー1号は、約4万年後に別の恒星の近くを通過すると予測されています。
人類文明がどうなっているか想像もつかない未来まで、探査機だけは飛び続けることになります。
ボイジャー計画が特別視される理由
ボイジャー計画が今でも語り継がれるのは、単なる技術力だけではありません。
1970年代の技術で作られた機械が、50年近く故障しながらも動き続けていること自体が驚異だからです。
また、人類が初めて太陽系外へ送り出した存在という象徴性もあります。
現在の最先端探査機と比べるとコンピューター性能は非常に低いですが、それでも宇宙史に残る偉業を達成しました。
まとめ
ボイジャー1号・2号は1977年に打ち上げられたにもかかわらず、現在も通信を続けています。
しかし電源である原子力電池の出力は徐々に低下しており、2030年前後には観測や通信が終了すると予測されています。
それでも探査機自体は止まることなく、未来永劫に近い時間を宇宙空間で飛行し続けます。
ボイジャーは単なる探査機ではなく、人類が宇宙へ送り出した「文明の記録」でもあるのです。


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