シーケンス制御では、「2つ同時押し」「一定時間後に状態遷移」「非常停止時の別動作」といった条件が組み合わさると、一気に回路が複雑になります。
特に今回のように、PB1・PB2・PB3のうち任意の2つが押された時のみ赤ランプを点灯し、その状態を5秒維持したら白ランプへ切り替える回路は、論理回路の考え方が必要になります。
この記事では、実際のシーケンス制御でよく使われるリレーとタイマーを使いながら、回路の考え方を順番に整理していきます。
今回の仕様を整理する
まず、条件を整理すると以下の通りです。
| 条件 | 動作 |
|---|---|
| PBを1個だけ押す | 何も点灯しない |
| 任意の2個同時押し | 赤ランプ点灯 |
| その状態を5秒維持 | 白ランプ点灯・赤消灯 |
| 白点灯中に非常停止 | 白消灯・オレンジ点灯 |
重要なのは、「どの組み合わせでも2個押しなら成立」という部分です。
つまり、
- PB1+PB2
- PB1+PB3
- PB2+PB3
の3条件をOR接続する必要があります。
まずは「2個押し判定回路」を作る
最初に必要なのは、2個同時押しを検出する回路です。
一般的には内部リレー(例えばCR1)を使用します。
考え方としては、
(PB1 AND PB2) OR (PB1 AND PB3) OR (PB2 AND PB3)
を作ります。
シーケンス回路では、AND条件は直列、OR条件は並列で表現します。
つまり、
- PB1-PB2直列
- PB1-PB3直列
- PB2-PB3直列
を並列接続して内部リレーCR1を動作させます。
赤ランプの点灯回路
CR1がONしたら赤ランプを点灯させます。
ただし、後で白ランプ点灯時には赤を消したいため、タイマー完了接点を利用してインターロックします。
例えば、
- CR1 a接点
- T1 b接点(タイマー未完了)
を直列にして赤ランプを点灯させます。
これで、2個押し中かつ5秒未満の間だけ赤ランプが点灯します。
5秒後に白ランプへ切り替える方法
次にオンディレイタイマーT1を使用します。
CR1がONしたらタイマーT1を起動し、5秒後にa接点をONさせます。
すると、
- タイマー完了 → 白ランプON
- タイマーb接点OFF → 赤ランプOFF
となります。
つまり、状態遷移としては、
2個押し → 赤点灯 → 5秒後 → 白点灯へ切替
になります。
非常停止でオレンジランプを点灯させる
白ランプ点灯中だけ非常停止を有効にしたいので、白ランプ条件と非常停止SWを組み合わせます。
例えば、
- T1 a接点(白条件)
- 非常停止SW a接点
を使用してオレンジランプ回路を作ります。
同時に白ランプ側へ非常停止SWのb接点を入れておけば、非常停止時に白ランプが消えます。
つまり、
- 非常停止押下 → 白消灯
- オレンジ点灯
が成立します。
回路構成のイメージ
簡略化すると以下のような構成になります。
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| PB1〜PB3 | 入力SW |
| CR1 | 2個押し判定 |
| T1 | 5秒オンディレイ |
| RL | 赤ランプ |
| WL | 白ランプ |
| OL | オレンジランプ |
実際のシーケンス回路で注意する点
2個押し回路は、押すタイミング差によって誤動作する場合があります。
そのため実際の設備では、
- 自己保持
- 同時押し監視タイマー
- 安全リレー
などを使うケースもあります。
また、非常停止回路は本来、安全規格に従って専用安全回路で構成する必要があります。
学習用回路と実設備では要求レベルが異なる点に注意が必要です。
ラダー回路で考えると理解しやすい
この問題は、ラダー図で考えるとかなり整理しやすくなります。
特に重要なのは、
- AND=直列
- OR=並列
- タイマー完了接点
- a接点・b接点
の使い分けです。
シーケンス制御では、「条件を日本語で整理してから回路へ変換する」ことが非常に大切です。
まとめ
今回の回路では、「3つの押しボタンのうち任意2つ押し」を内部リレーで判定し、その信号を使って赤ランプとタイマーを動作させる構成になります。
5秒後にはタイマー接点で白ランプへ切り替え、さらに非常停止SWで白ランプを消してオレンジランプを点灯させます。
シーケンス制御では、複雑な仕様でも「条件分解」するとかなり整理しやすくなります。
特に今回のような問題では、AND条件・OR条件・タイマー接点の使い方を理解することがポイントです。


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