SPHC, SEHC, SECCの違いと材質選びのポイント:溶接時の注意点も解説

工学

板金加工や溶接の現場でよく耳にするSPHC、SEHC、SECC。これらはどれも鉄を基にした材質の種類ですが、それぞれに特徴があります。本記事では、これらの材質の違いや溶接時の適切なワイヤー選びについて解説します。初心者でも分かりやすいように、実例を交えて説明していきます。

SPHCとは?

SPHC(Hot Rolled Steel for Cold Stamping)とは、冷間加工を行うための熱間圧延鋼板です。主に自動車や家電などの部品で使用されることが多い材質で、加工性が良いのが特徴です。SPHCは溶接にも対応しており、強度と加工性をバランス良く兼ね備えています。

ただし、SPHCは防錆処理が施されていないため、錆びやすい点に注意が必要です。そのため、屋外で使用する場合は、防錆処理が必要になることが多いです。

SEHCとは?

SEHC(Hot Rolled Steel for Electrical Use)は、SPHCの改良版で、主に電気機器や高品質な板金部品で使用される材質です。SEHCはSPHCよりも平滑性や精度が高く、加工性にも優れています。

SEHCはそのままではメッキ処理が施されていませんが、溶接性が高く、表面処理を施すことで更に強度が向上する特徴があります。具体的には、SEHCは亜鉛メッキを施すことが多く、その結果「SECC」と呼ばれる材質になります。

SECCとは?

SECC(Zinc-Coated Steel Sheet)は、亜鉛メッキを施した鋼板です。このメッキにより、耐食性が大きく向上し、屋外や湿気の多い場所での使用にも耐えるようになります。

SECCは、主に家庭用電化製品や車の外装パーツに使用されます。亜鉛メッキの厚さや品質により、耐久性や加工のしやすさが異なるため、使用目的に応じた選定が重要です。

SPHC、SEHC、SECCの違いを理解する

これらの材質は、同じ鉄鋼素材でありながら、加工方法や用途に応じて異なる特徴を持っています。SPHCは主に冷間加工に対応した一般的な鋼板であり、SEHCは精度や加工性に優れた高品質な鋼板、SECCは亜鉛メッキにより耐食性が強化された鋼板です。

材質の選定は、使用目的や環境、加工方法に大きく依存します。例えば、屋外での使用が予想される部品や高耐食性が求められる部品にはSECCが最適です。逆に、室内で使用する部品や加工性が重要な場合はSPHCやSEHCが適しています。

溶接時のワイヤー選び

溶接時に使用するワイヤーについては、材質に合わせた適切な選定が重要です。SPHCやSEHC、SECCのいずれも鉄素材を基にしていますが、表面処理の違いがあるため、同じ鉄系ワイヤーで溶接できる場合もあれば、異なるワイヤーを使用した方が良い場合もあります。

一般的に、鉄系ワイヤー(SSワイヤー)であれば、SPHCやSEHCに対応できます。しかし、SECCのように亜鉛メッキが施されている素材には、メッキを避けるために専用のワイヤーを使用する必要があります。亜鉛メッキの溶接は、亜鉛蒸気が発生するため、適切なワイヤーと技術が求められます。

まとめ

SPHC、SEHC、SECCは、それぞれ異なる特性を持った鋼板材質です。選択する際は、使用目的や環境に応じて適切な材質を選ぶことが重要です。また、溶接時には、材質ごとの特性に応じたワイヤーの選定を行うことで、より高品質な溶接が可能となります。これらの基本を押さえて、効率的かつ安全な作業を行いましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました