海水中に含まれる金の総量とその価値:金鉱山と金の濃度について

工学

海水中に溶け込んでいる金(ゴールド)の総量は莫大なものとされていますが、実際にその価値を引き出すためにはどのような問題があるのでしょうか?また、ナチスが軍資金調達のために海水から金を取り出そうとしたという話は有名ですが、現実的にはその方法がなぜ非現実的だったのかについても深掘りしていきます。金の濃度や取り出すための技術についても解説します。

海水中の金の量とその総量

海水中には金が微量に溶け込んでいます。具体的には、海水1トンあたり約0.004ppm(0.000004g)の金が含まれていると言われています。この数値は非常に少ないものの、海水全体で計算すると膨大な量の金が存在していることが分かります。

海水に含まれる金の総量は、地球全体の海水の量を考慮すると、おおよそ1億トン以上になると推測されています。しかし、金を実際に取り出すためには非常に高いコストがかかり、そのため商業的に採掘することは現実的ではありません。

海水から金を取り出すための技術的な課題

海水から金を抽出する技術的な問題点は、その金の濃度の低さです。海水の中に金が溶け込んでいる量は極めて少なく、これを抽出するための費用が非常に高額になります。ナチスが第二次世界大戦中に金を軍資金調達のために海水から取り出そうとしたという話がありますが、実際にはそのための電気分解や化学的処理のコストがかかりすぎて実行には至りませんでした。

実際に海水から金を取り出すためには、膨大な量の海水を処理し、金を抽出するための電力や化学薬品が必要となります。このため、現代でも海水から金を取り出す商業的な方法は存在せず、主に鉱山から採掘される金が流通しています。

金の濃度が低いと価値がないのか?

金の濃度が非常に低い海水中から金を取り出す場合、その取り出しコストは金そのものの価値を大きく上回ります。金の価値はその密度や濃度によって決まりますが、濃度が低ければ低いほど、金を抽出するためのコストが高くなります。

このような場合、金を採掘する際の採算が合わなくなるため、金鉱山のように比較的高濃度の金を取り出すことができる場所が商業的に有利です。鉱山経営では、高濃度の金鉱石を採掘することが重要で、海水のように微量の金を抽出する方法では採算が取れません。

鉱山経営と金の濃度の関係

鉱山経営では、金鉱石の中に含まれる金の濃度が高いほど採掘が有利となります。鉱山では、金の濃度が高い鉱石を効率的に採掘し、金を精製することで利益を上げています。これに対して、海水中の金は非常に低い濃度でしか存在していないため、採掘コストが金の価値を超えてしまうのです。

鉱山では、地表下にある金鉱石を掘り出すための設備や人員が必要で、これに対する投資は必要ですが、金の濃度が十分高ければ、その後の精製過程で得られる金の量がコストを上回り、利益を得ることができます。

まとめ

海水中に溶け込んでいる金の総量は膨大であり、理論上は非常に多くの金が海水に含まれています。しかし、その金を取り出すには非常に高いコストがかかり、現実的に商業的な利益を上げることはできません。金鉱山経営では、より高濃度の金を効率的に採掘することが利益を生むため、海水から金を取り出す方法は現実的ではないと言えます。

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