ミトコンドリアの電子伝達系における酸化還元反応とそのエネルギー計算

化学

ミトコンドリア内で行われる電子伝達系における酸化還元反応は、生物のエネルギー生産において非常に重要な役割を果たします。この反応に関連する問題では、標準電位を基にした反応式の作成や、反応におけるエネルギー変化の計算が求められます。この記事では、与えられた問題を解くための手順を解説します。

(1)全体として起こる酸化還元反応の反応式

まず、NADHから電子が供給され、酸素と結びついて水を生成する反応を考えます。NADHの酸化反応と酸素の還元反応を組み合わせることで、以下の反応式を得ることができます。

NADH + H+ + 1/2 O2 → NAD+ + H2O

この反応は、NADHの酸化と酸素の還元が連動した酸化還元反応です。

(2)この反応の25°Cにおける標準起電力

標準起電力(E°)は、2つの半反応の標準電位を使って計算できます。NADHの酸化反応の標準電位(E°)は-0.320 V、酸素の還元反応の標準電位は+0.820 Vです。

全体の反応における標準起電力は、以下の式で求めることができます。

E° = E°(還元反応) – E°(酸化反応)

E° = 0.820 V – (-0.320 V) = 1.140 V

(3)この反応の標準反応ギブズエネルギー(ΔG°)

反応の標準ギブズエネルギーは、標準起電力を使用して以下の式で求めることができます。

ΔG° = -nFE°

ここで、nは反応に関与する電子の数(2e)、Fはファラデー定数(96500 C/mol)、E°は先程求めた標準起電力です。

計算を行うと、ΔG° = -2 × 96500 C/mol × 1.140 V = -220,680 J/mol = -220.7 kJ/mol

(4)1分子のNADHから合成できる最大ATP分子数

ATP合成には30.5 kJ/molのエネルギーが必要とされています。1分子のNADHが放出するエネルギー(220.7 kJ/mol)から理論上最大ATP分子数を求めるには、以下の計算を行います。

最大ATP数 = ΔG° / ATP合成に必要なエネルギー

最大ATP数 = 220.7 kJ/mol / 30.5 kJ/mol ≈ 7.2分子

したがって、1分子のNADHの酸化により、理論上最大7.2分子のATPを合成できることがわかります。

まとめ

ミトコンドリアでの電子伝達系における酸化還元反応を理解することは、細胞内でのエネルギー生成過程を深く理解するために重要です。標準起電力やギブズエネルギーを計算し、エネルギー効率やATP合成の理論的な上限を求めることで、実際の生理学的なプロセスをより正確に把握することができます。

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