2項係数を使った等式の証明:基本例題5の解説

高校数学

この問題では、2項係数を利用していくつかの等式を証明する方法を学びます。問題の中で登場する三つの等式(ア)、(イ)、(ウ)について、それぞれの証明を段階的に解説します。数式が苦手な方でもわかりやすいように、言葉で説明しながら進めていきます。

問題の設定と公式の確認

まず、基本的な公式を確認しましょう。2項係数(nCr)は、次のように表されます。

nCr = n! / (r! (n-r)!)

また、(1 + x)ⁿ の展開式は、次のように表現できます。

(1 + x)ⁿ = Σ (nCr) xᵣ

この公式を利用して、与えられた等式を証明していきます。

(ア)nC₀ + nC₁ + nC₂ + … + nCn = 2ⁿ の証明

まず、(1 + x)ⁿ を展開すると、以下のようになります。

(1 + x)ⁿ = nC₀ + nC₁ x + nC₂ x² + … + nCn xⁿ

ここで x = 1 を代入すると。

(1 + 1)ⁿ = nC₀ + nC₁ + nC₂ + … + nCn

したがって、(1 + 1)ⁿ = 2ⁿ となり、nC₀ + nC₁ + nC₂ + … + nCn = 2ⁿ が証明されます。

(イ)nC₀ + nC₁ + nC₂ – … + (-1)ᵣ nCr + … + (-1)ⁿ nCn = 0 の証明

次に、この等式を証明します。この場合、(1 – x)ⁿ の展開式を使います。

(1 – x)ⁿ = nC₀ – nC₁ x + nC₂ x² – … + (-1)ᵣ nCr xᵣ + … + (-1)ⁿ nCn xⁿ

ここで x = 1 を代入すると。

(1 – 1)ⁿ = nC₀ – nC₁ + nC₂ – … + (-1)ᵣ nCr + … + (-1)ⁿ nCn

したがって、(1 – 1)ⁿ = 0 となり、nC₀ + nC₁ + nC₂ – … + (-1)ᵣ nCr + … + (-1)ⁿ nCn = 0 が証明されます。

(ウ)nC₀ – 2nC₁ + 2²nC₂ – … + (-2)ᵣ nCr + … + (-2)ⁿ nCn = (-1)ⁿ の証明

最後に、(1 – 2x)ⁿ を展開してこの等式を証明します。

(1 – 2x)ⁿ = nC₀ – 2nC₁ x + 2²nC₂ x² – … + (-2)ᵣ nCr xᵣ + … + (-2)ⁿ nCn xⁿ

ここで x = 1 を代入すると。

(1 – 2)ⁿ = nC₀ – 2nC₁ + 2²nC₂ – … + (-2)ᵣ nCr + … + (-2)ⁿ nCn

したがって、(1 – 2)ⁿ = (-1)ⁿ となり、nC₀ – 2nC₁ + 2²nC₂ – … + (-2)ᵣ nCr + … + (-2)ⁿ nCn = (-1)ⁿ が証明されます。

まとめ:2項係数の応用

この問題を通して、2項係数の展開式を使った等式の証明方法を学びました。各証明は、(1 + x)ⁿ、(1 – x)ⁿ、(1 – 2x)ⁿ の展開式を利用することで簡単に証明できることがわかりました。数学の問題を解く際に、こうした公式や展開式をうまく活用することで、複雑な問題も効率的に解くことができます。

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