水1リットル(約1000g)の入った容器に、100gのタングステン球を落としたとき、最終的な合計質量は1100gになります。しかし「落とした瞬間から1100gになるのか?」という疑問は、実は物理学的にとても面白いテーマです。本記事では、落下中の重量変化を力学と浮力の観点から分かりやすく解説します。
まず整理:質量と重量は違う
最初に重要なのは、「質量」と「重量(はかりに表示される値)」は厳密には異なるという点です。
質量は物体そのものの量であり、1000gの水と100gのタングステンを合わせれば常に1100gです。
一方、重量は容器が下から受ける力、つまり床やはかりに伝わる力です。今回の疑問はこの「伝わる力」がいつ1100g相当になるのか、という話です。
タングステンが空中にある瞬間
タングステンをまだ水に触れさせず、手で持っている場合、容器に伝わるのは水の1000g分だけです。
このとき100g分の重さは手が支えています。したがって、はかりの表示は1000gのままです。
つまり、タングステンが容器に力を伝えていなければ、表示は増えません。
水中を落下している途中はどうなるか
ここが本題です。タングステンが水に入った瞬間、水は浮力を及ぼします。
浮力は「押しのけた水の重さ」に等しくなります。タングステンは非常に密度が高いため、体積は小さく、浮力は100gよりかなり小さい値になります。
落下中、タングステンには次の力が働きます。
- 下向き:重力(100g相当)
- 上向き:浮力+水の抵抗
水はタングステンを上向きに押しますが、その反作用としてタングステンは水を下向きに押します。この力が容器を通じてはかりに伝わります。
したがって、水中に入った瞬間から、はかりの値は増加し始めます。
落下中の重量は1100gになるのか
理想的な静止状態(底に着いて完全に止まった状態)では、合計1100gがはかりに伝わります。
しかし落下中は加速度があるため、力は一時的に変動します。
例えば、タングステンが加速している間は、はかりに伝わる力は1100g未満になります。逆に底に衝突した瞬間は、一時的に1100gを超えることもあります。
最終的に静止すれば、重さは安定して1100gになります。
具体的なイメージで理解する
イメージとしては、エレベーターの中で体重計に乗っている状態と似ています。
エレベーターが下向きに加速すると体重は軽く表示され、止まる直前には重く表示されます。
タングステンの落下も同様に、「加速度」がある間は瞬間的な重量が変化するのです。
まとめ
水1リットル(1000g)に100gのタングステンを落とした場合、最終的な質量は1100gです。
しかし、落下中は浮力・加速度・衝突の影響により、はかりの表示は瞬間的に変化します。
静止すれば1100gになりますが、落としている途中は必ずしも常に1100gではありません。物理学の基本原理を理解すると、この現象はとても自然な結果だと分かります。


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