ワームホールの大きさはどれくらい?宇宙船は通れるのかを一般相対性理論から解説

物理学

ワームホールがもし存在するとしたら、どれくらいの大きさまで通過できるのか――ロケットや宇宙船は通れるのか、という疑問はSF作品でもよく描かれるテーマです。本記事では、一般相対性理論に基づく理論的ワームホールの性質と、通過可能なサイズの問題を科学的視点から整理します。

ワームホールとは何か

ワームホールは、アインシュタインの一般相対性理論から数学的に導かれる時空のトンネル構造です。

正式には「アインシュタイン=ローゼン橋」と呼ばれる解が知られています。

これはブラックホール解の延長として現れる理論的構造であり、現時点では観測されたことはありません。

自然にできるワームホールのサイズ

量子重力スケールで予想されるワームホールは、プランク長(約10のマイナス35乗メートル)程度とされています。

これは原子核よりもはるかに小さく、物質どころか素粒子ですら通過できません。

したがって、自然発生的なワームホールが宇宙船を通す可能性は極めて低いと考えられています。

通過可能なワームホールの条件

理論上、人が通れるサイズの「通過可能ワームホール」を維持するには、負のエネルギー密度(エキゾチック物質)が必要とされています。

このような物質はカシミール効果などで微小に確認されていますが、巨大構造を安定化させるほどの量は現実的ではありません。

もし直径10mのワームホールを安定させると仮定すると、惑星規模のエネルギーが必要になるという試算もあります。

宇宙船は理論上通れるのか

数学的モデル上は、十分に大きく安定化されたワームホールなら宇宙船も通過可能です。

ただし、内部では強い潮汐力(重力差)が発生する可能性があり、構造物が破壊される恐れがあります。

安全に通過するには、潮汐力が人体や機体の耐久限界を下回る必要があります。

これはブラックホール近傍の重力環境に似た課題です。

SFと科学の違い

映画や小説では、巨大で安定したワームホールが描かれます。

しかし現代物理学では、そのような構造の存在証拠はありません。

現実的には、ワームホールは理論解として存在する可能性はあるものの、工学的利用は極めて困難とされています。

まとめ

ワームホールが存在するとしても、自然にできるサイズは極微小と考えられています。

宇宙船が通過できる規模のワームホールを安定させるには、未知の物質や莫大なエネルギーが必要です。

現時点では理論物理の枠内にある概念であり、実用的な宇宙航行手段とは言えません。

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