油圧回路を学び始めると、リリーフ弁の「クラッキング圧」や「全量リリーフ圧」が実際の回路でどう振る舞うのかが分かりにくく感じられることがあります。本記事では、定容量ポンプ・リリーフ弁・切替弁という基本的な構成を例に、圧力がどのように推移するのかを理屈から整理します。
定容量ポンプとPポートブロック時の基本状態
定容量ポンプは、負荷の有無に関わらず一定流量を吐出し続けるポンプです。切替弁をPポートブロックにすると、作動油の逃げ場がなくなり、回路内圧力は上昇します。
このとき、回路を保護する役割を担うのがリリーフ弁です。リリーフ弁がなければ、圧力は際限なく上昇し、機器破損につながります。
クラッキング圧と全量リリーフ圧の意味
クラッキング圧とは、リリーフ弁が「開き始める」圧力のことです。今回の条件では1MPaで弁がわずかに開き、油がタンク側へ流れ始めます。
一方、全量リリーフ圧とは、ポンプ吐出量のほぼ全てをリリーフできる状態の圧力です。この例では1.5MPaで、ポンプ流量=リリーフ流量となるバランス点を意味します。
Pポートブロックを維持した場合の圧力挙動
切替弁をPポートブロックにすると、圧力はまず1MPaまで上昇し、クラッキング圧でリリーフが始まります。その後もポンプは流量を吐出し続けるため、リリーフ弁の開度が徐々に増し、圧力は1.5MPaまで上昇します。
この状態でPポートブロックを維持すると、回路圧力は1MPaに下がることはなく、基本的には1.5MPa付近で安定します。理由は、定容量ポンプの吐出流量と、リリーフ弁からの逃がし流量が釣り合う点が1.5MPaだからです。
なぜ1MPaまで下がらないのか
クラッキング圧は「弁が動き始める点」であり、圧力を制御・保持する点ではありません。1MPaではリリーフ流量が不足し、ポンプ流量を逃がしきれないため、圧力はさらに上昇します。
結果として、回路は「ポンプ流量=リリーフ流量」となる圧力、つまり全量リリーフ圧付近で落ち着くのが通常の挙動です。
実務での注意点と補足
実際の油圧回路では、油温変化や弁の特性ばらつきにより、1.5MPaからわずかに上下することがあります。しかし、原理的には「全量リリーフ圧で維持される」と理解して問題ありません。
省エネや発熱対策の観点では、長時間の全量リリーフ状態は好ましくないため、アンロード回路や可変容量ポンプが用いられることも多いです。
まとめ
クラッキング圧1MPa・全量リリーフ圧1.5MPaのリリーフ弁を用いた定容量ポンプ回路では、Pポートブロックを維持すると圧力は1.5MPa付近で安定します。クラッキング圧はあくまで「開き始め」であり、圧力保持点ではないことを押さえると、油圧回路の挙動が理解しやすくなります。


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