板金加工におけるSUS304(ステンレス)の曲げ加工は、正確な寸法管理が求められます。特に、「伸び代」の計算については、多くの板金加工技術者が悩んでいる問題です。ここでは、SUS304を使ったL字曲げやハット曲げの展開図作成時に役立つ「伸び代」の計算方法と、歪みを最小限に抑えるためのテクニックを紹介します。
「伸び代」とは?
「伸び代」とは、板金を曲げた際に、曲げ部分が伸びる(広がる)量を指します。この伸び代を正確に計算することで、最終的な製品の寸法を正確に予測できます。SUS304のようなステンレス鋼は、硬度が高く伸びにくいため、計算上の寸法と仕上がり寸法にズレが生じることがあります。
一般的に、板厚の約1.6倍を引くという方法が広く使われていますが、これはあくまで一般的な目安に過ぎません。金型のV幅や曲げ半径、材質によって伸び代は異なります。
SUS304の伸び代の計算式と係数
SUS304などのステンレスの伸び代を計算するための基本的な式は以下の通りです。
- 伸び代(ΔL) = 板厚 × 曲げ半径係数
曲げ半径係数は、材質の特性や金型のV幅、曲げ角度によって異なります。例えば、一般的なSUS304の場合、曲げ半径係数は約1.5〜2.0程度です。この係数を基に、計算した寸法に対して適切な調整を行うことが必要です。
アルミなどの他の材質と比べて、SUS304は比較的硬いため、伸び代を小さめに設定する必要があります。アルミの場合はもう少し大きな係数を使って計算することが多いです。
金型のV幅と曲げ半径の影響
金型のV幅や曲げ半径が変わると、伸び代が大きく変化します。V幅が広い場合、曲げの角度が緩やかになり、伸び代が大きくなる傾向があります。また、曲げ半径が小さくなると、板金の伸びが小さくなり、寸法が安定します。
したがって、金型や使用する工具の仕様によっては、同じ板厚でも異なる計算が必要になります。曲げ加工前に金型や曲げ角度を適切に設定することが、最終的な精度を高めるためのポイントです。
圧力設定と曲げ順序の影響
ベンダーの圧力設定や曲げ順序も、伸び代に影響を与える要因です。特に、圧力が高すぎると、金属の伸びが不均一になり、歪みが生じることがあります。適切な圧力を設定し、過剰な力をかけないようにしましょう。
また、曲げ順序によっても歪みが変わることがあります。複数の曲げが必要な場合、最初に曲げる部分から順番に行うことで、最終的な歪みを抑えることができます。特に、長尺ものの曲げでは、この順番を工夫することが重要です。
歪み修正のテクニック
もし歪みが発生してしまった場合、修正方法にも工夫が必要です。一般的な修正方法としては、金属を逆方向に加熱したり、逆方向に力を加えることで、歪みを取り除くことができます。また、冷却後にプレートを元の位置に戻す方法も効果的です。
修正作業を効率化するためには、専用の修正工具を使用することが推奨されます。これにより、手作業での修正にかかる時間を短縮し、精度を高めることができます。
まとめ
SUS304の曲げ加工における「伸び代」の計算は、材質の特性や金型の仕様に応じて調整する必要があります。計算式を基にした伸び代の予測と、金型のV幅や曲げ半径の影響を考慮しながら加工を進めることで、歪みを抑えることができます。これらの対策をしっかりと実践することで、精度の高い曲げ加工が可能になります。


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