古文助動詞「なり」の使い分けについては、特に接続が四段活用の動詞の場合に混乱が生じることがあります。終止形と連体形が同じ形になる場合、この「なり」が伝聞・推定の意味なのか、それとも断定や所存を示しているのか、どうやって判断するのでしょうか?この記事では、この問題を解決するための判断基準と実際の文脈に基づく使い分け方について解説します。
「なり」の基本的な意味と使い分け
古文における助動詞「なり」には、主に「断定」「推定」「伝聞」の意味があります。接続する動詞の形や文脈によって、その意味が異なるため、使い分けが重要です。
「なり」が使われるとき、四段活用の動詞の終止形と連体形が同じ形(例えば、「言う」)になる場合、これが伝聞・推定なのか、断定や所存を示すのかは、文脈によって判断する必要があります。
四段活用の動詞と「なり」の接続
四段活用の動詞に「なり」が接続する場合、特に注意すべきはその形が終止形と連体形で一致する点です。例えば、動詞「言ふ」に「なり」を接続すると、終止形「言ふなり」、連体形「言ふなり」が同じ形になります。この場合、「なり」がどの意味を持つかを判断するためには、文脈や他の語句との関係を考える必要があります。
四段活用動詞の接続では、伝聞や推定の「なり」が使われることが多いですが、文脈が明確であれば断定や所存を表すこともあります。
文脈による判断方法
「なり」が使われる文脈から、その意味を判断するためには、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 伝聞・推定の場合:文脈の中で、何かの事実や情報を伝える場合や、相手が言ったことを伝える場合に「なり」は使われます。この場合、主語が他者であることが多く、間接的な情報として伝わります。
- 断定・所存の場合:自分の意志や考えを表現する場合に「なり」が使われます。文の中で「なり」が断定的に使われ、他の動詞と組み合わせることが多いです。
例えば、「彼は行くなり」なら、「行く」という動作の推定や伝聞を表し、「私は行くなり」となれば、断定的に自分の意志を表現していることになります。
「なり」の使い分けの実例
実際に「なり」の使い分けを例文で見てみましょう。
- 伝聞・推定:「彼は言うなり、私は驚いた。」(彼が言ったことを伝える)
- 断定・所存:「私は行くなり。」(自分の意志を示す)
これらの例から、文脈によって「なり」が伝聞・推定か、断定・所存かが変わることがわかります。
まとめ
古文助動詞「なり」は、四段活用の動詞と接続した場合に、伝聞・推定、または断定・所存として使われることがあります。終止形と連体形が同じ形になるため、文脈に基づいてどの意味を取るかを判断する必要があります。伝聞・推定であれば他者の言葉や情報を伝える場合が多く、断定・所存の場合は自分の意志や考えを示す場合が多いです。文脈に応じて適切に解釈しましょう。


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