「人生は運と偶然で決まる」という考え方について、出口治明の著書『逆境を苦しんだ僕からの31のメッセージ』に触れ、人生における自由意志と運命についての議論を深掘りしていきます。特に、運や偶然が人間の行動や思考にどれほど影響を与えるのか、また自由意志との関係について考察します。
「運」と「偶然」の影響
出口治明の言う「人生は運と偶然」であるという考え方は、私たちの人生が単なる努力や意志の力だけではなく、運や偶然の要素に強く依存していることを示唆しています。環境や偶然の出会い、予期しない出来事が人生の方向性を大きく変えることがあり、これを「凧揚げ」に例えています。
つまり、どれだけ準備をしても、風が吹かないと凧は上がらないように、準備をしていても運やタイミングが合わなければ、思い通りに進まないこともあるということです。
自由意志と「運」「偶然」の関係
自由意志とは、自分の意志で行動を選択できる能力のことですが、出口治明が述べるように、完全な自由意志は存在しないという考え方もあります。社会心理学者の小坂井敏晶や非二元論者のラメッシ・バルセカールが言うように、「完全な自由意志はない」という立場を取る人もいます。
この立場では、私たちの行動や決断は、過去の経験、環境、運、偶然の影響を受けていると考えます。つまり、私たちが選んだ道や行動も、実は無意識のうちに影響されているのです。この考え方は、行為者が存在しないという観点で捉えることができます。
「すべて自己責任」と「運命」をどう捉えるか
「すべて自己責任」と考えることは、確かに自分の行動に対して責任を持つことが重要ですが、過度に自分を責めることは不健全です。逆境をすべて自己責任として捉えることは、精神的に過度なプレッシャーをかけてしまいます。運や偶然が絡む出来事も多く、人間にはコントロールできない要素もあります。
それに対して、全てを「運命」や「他人のせい」にするのもまた誤りです。自分の選択が大きな影響を与える部分も多く、バランスを取ることが重要です。自分の手柄や結果がすべて自分の力だけに起因するわけではないという謙虚さを持ちながらも、行動や選択に対しては責任を持つことが求められます。
結論:運と自由意志のバランス
結論として、人生には「運」と「偶然」の要素が大きく影響していることは否定できませんが、それでも「自由意志」を持って行動することが人生を豊かにするカギとなります。私たちが選ぶ行動や反応は、運命を変える可能性を持っており、すべてが偶然に任せられているわけではありません。
運や偶然に感謝しつつも、自分の意志で最善の選択をし、自己成長を目指すことが大切です。このように、「運」と「自由意志」は相反するものではなく、互いに影響し合いながら、私たちの人生を形作っています。

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