高校化学でよく見かける反応の一つに、ヨウ素がヨウ化カリウム水溶液に溶けると、ヨウ素の色が消えるという現象があります。この現象について疑問を持つ人も多いかもしれません。特に、「ヨウ素を全てヨウ化物イオンにするだけで三ヨウ化物イオンが消えたわけではないから色も消えないはずだ」と考えるかもしれませんが、実際にはどうして色が消えるのでしょうか?この記事では、この疑問を解決するための化学的な解説を行います。
ヨウ素の還元反応と色の変化
ヨウ素(I2)がヨウ化カリウム(KI)の水溶液に通じると、ヨウ素が還元されてヨウ化物イオン(I-)になります。この還元反応は、以下のように表されます。
I2 + 2e- → 2I-
ヨウ素がヨウ化物イオンに変化すると、ヨウ素の特徴的な紫色が消えます。これは、ヨウ素が化学的に変化し、紫色を持つ分子(I2)から、無色のヨウ化物イオン(I-)に変わるためです。
三ヨウ化物イオンとは?
三ヨウ化物イオン(I3-)は、ヨウ素分子(I2)がヨウ化物イオン(I-)と結びついてできた化合物です。ヨウ素が水溶液に溶けると、一部は三ヨウ化物イオンとして存在することがありますが、このイオンは紫色を持っています。
しかし、ヨウ化カリウム水溶液に通じることで、ヨウ素が還元されてヨウ化物イオンに変化すると、三ヨウ化物イオンはほとんど生成されなくなります。このため、ヨウ素溶液の色は消えます。
なぜ三ヨウ化物イオンではなくヨウ化物イオンが関係するのか?
質問者が指摘する通り、三ヨウ化物イオンが消えたわけではなく、ヨウ素がヨウ化物イオンに還元されたことが原因で色が消えるのです。三ヨウ化物イオン(I3-)はヨウ素分子とヨウ化物イオンが結びついた化合物であり、紫色を呈しますが、この反応において重要なのは、ヨウ素が還元されてI-が生成されることです。
実際、ヨウ化カリウム(KI)水溶液にはヨウ化物イオン(I-)が含まれており、ここにヨウ素(I2)が還元されてI-に変わることによって、溶液中に残るのは無色のヨウ化物イオンだけとなります。その結果、ヨウ素溶液に特有の紫色が消えることになります。
まとめ:ヨウ素の色が消える理由
ヨウ素がヨウ化カリウム水溶液に通じると、ヨウ素が還元されてヨウ化物イオン(I-)に変化します。この還元反応によって、ヨウ素分子(I2)が無色のヨウ化物イオンに変わり、ヨウ素の紫色が消えるのです。三ヨウ化物イオン(I3-)はこの反応では重要ではなく、色の変化の直接的な原因はヨウ素の還元反応によるものです。化学反応を理解することで、現象の背後にあるメカニズムが明確になり、より深い理解が得られます。


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