電圧降下計算は、低圧電気設備の設計や施工において非常に重要なポイントです。特に内線規程で定められている「許容電圧降下率」が、どの電圧を基準に掛け算されるのかは混乱しやすい部分です。本記事では、三相三線式200Vと単相三線式100/200Vの違いに注目しながら、内線規程の考え方を整理します。
内線規程における許容電圧降下の基本
内線規程では、低圧配線における電圧降下を一定範囲内に抑えることが求められています。一般的には、引込口から負荷端までの電圧降下を合計で概ね2%〜6%以内とする指針が示されています。
ここで重要なのは、「%」がどの電圧を基準にしているかという点です。電圧降下率は、系統の定格電圧を基準に計算する、というのが基本的な考え方になります。
三相三線式200Vの場合の考え方
三相三線式200V回路では、線間電圧が200Vであるため、電圧降下率は200Vを基準に計算します。
例えば、亘長が120mを超え、許容電圧降下率が6%の場合、200V×6%=12Vが許容電圧降下となります。この考え方は比較的分かりやすく、多くの実務者に共有されています。
単相三線式100/200Vの電圧降下はどこを見る?
単相三線式では、100V回路と200V回路が混在するため、ここが最も混乱しやすいポイントです。内線規程の考え方では、負荷に供給される回路の定格電圧を基準に電圧降下を考えます。
つまり、100V負荷に対する配線であれば100Vを基準に、200V負荷であれば200Vを基準に許容電圧降下率を掛けます。単相三線式だから一律で200V基準にする、という考え方ではありません。
内線規程に基づく実務的な整理
内線規程では、単相三線式についても「負荷端子電圧が適正範囲内にあること」が求められており、結果として各負荷の定格電圧を基準に判断する運用になります。
例えば、幹線は200V基準で検討し、分岐して100V負荷に供給する部分では100V基準で電圧降下を確認するといった考え方です。これは設計実務や試験問題でも一般的な扱いとなっています。
計算時に注意したいポイント
単相三線式では、中性線電流のアンバランスや負荷の偏りによって電圧降下が変化する点にも注意が必要です。特に100V負荷が多い場合は、理論値だけでなく実用面での電圧低下にも配慮します。
単純な%計算だけでなく、系統構成と負荷条件をセットで理解することが、電圧降下計算を正しく行うコツと言えるでしょう。
まとめ
内線規程における許容電圧降下率は、系統ごとの定格電圧を基準に考えるのが原則です。三相三線式200Vでは200V、単相三線式では100V負荷は100V、200V負荷は200Vを基準に計算します。回路の種類と負荷電圧を意識して整理することで、電圧降下計算は格段に分かりやすくなります。


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