化学の中和反応では、酸と塩基が反応して水と塩を生成します。質問で示された問題では、0.10molの硫酸H2SO4を中和するために必要な水酸化ナトリウムNaOHの量について議論しています。この問題では反応式と価数を考慮することが重要です。今回は、反応式の係数と酸・塩基の価数の関係について詳しく解説します。
硫酸と水酸化ナトリウムの中和反応
中和反応の基本的な式は、酸と塩基が反応して水と塩を生成するものです。例えば、硫酸H2SO4と水酸化ナトリウムNaOHの反応は以下の化学反応式で表されます。
H2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 + 2H2O
この反応式からわかる通り、硫酸1molに対して水酸化ナトリウム2molが必要です。反応式における係数に注目し、モル比を理解することが重要です。
価数とモル比の違い
反応において「係数」と「価数」を混同しがちですが、これらは異なる概念です。係数は化学反応式で示される分子やイオンの数を表します。価数は酸や塩基が一度に結びつけることができる水素イオンや水酸化物イオンの数です。
硫酸H2SO4は2価の酸であり、1molのH2SO4は2molの水素イオン（H+）を供給できます。一方、水酸化ナトリウムNaOHは1価の塩基であり、1molのNaOHは1molの水酸化物イオン（OH-）を供給します。これにより、硫酸と水酸化ナトリウムの反応においては、価数の違いを考慮したモル比が求められます。
モル比を求めるための計算方法
問題文にある0.10molの硫酸を中和するために必要な水酸化ナトリウムの量を求めるためには、化学反応式に基づくモル比を使用します。
反応式では、硫酸H2SO4 1molに対して水酸化ナトリウムNaOHが2mol反応することが示されています。したがって、0.10molの硫酸を中和するためには、
0.10mol × 2 = 0.20mol
の水酸化ナトリウムが必要です。
価数を考慮した理由
価数の違いを考慮してモル比を計算する際、硫酸H2SO4は2価の酸、NaOHは1価の塩基であるため、モル比は2:1となります。従って、0.10molの硫酸に対して、2倍の量の水酸化ナトリウム（0.20mol）が必要です。
このように、価数を反映させることで、正しいモル比を求めることができます。反応式での係数と価数は、反応における必要な物質量を正確に計算するために重要な役割を果たします。
まとめ
硫酸と水酸化ナトリウムの中和反応におけるモル比を求める際には、化学反応式に基づいた係数と、酸と塩基の価数の違いを理解することが重要です。価数は酸や塩基が反応で関与する水素イオンや水酸化物イオンの数を示し、それを反映させることで正確なモル比を計算できます。したがって、価数と係数は同じ意味ではなく、価数を考慮することがモル比の計算に必要不可欠です。
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