水溶液中のイオンの計算方法と実例:酢酸、アンモニア、水酸化カルシウムの電離度と物質量の求め方

化学

水溶液中に含まれるイオンの量を計算することは、化学反応や物質の性質を理解するために非常に重要です。この記事では、酢酸、アンモニア、水酸化カルシウムを例に挙げ、電離度と物質量を求める方法について解説します。

1. 酢酸の水溶液における電離度と物質量の計算

酢酸(CH₃COOH)は弱酸であり、水に溶けると一部が電離して酢酸イオン(CH₃COO⁻)と水素イオン(H⁺)を生成します。例えば、0.10 molの酢酸を溶かした水溶液があり、電離度が0.016とすると、酢酸が電離する割合が0.016であることを意味します。

この場合、酢酸分子のモル数は0.10 molです。電離度が0.016なので、電離した酢酸イオンと水素イオンのモル数はそれぞれ、0.10 mol × 0.016 = 0.0016 mol です。残りの未電離酢酸分子のモル数は、0.10 mol – 0.0016 mol = 0.0984 mol となります。

2. アンモニアの水溶液における電離度とイオンの生成

アンモニア(NH₃)は弱塩基であり、水に溶けるとアンモニアイオン(NH₄⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)に電離します。1.0 molのアンモニアを溶かした水溶液で、電離度が0.0042のとき、電離によって生成されるイオンは、アンモニアイオン(NH₄⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)です。

1.0 molのアンモニアが電離度0.0042で電離すると、生成される各イオンのモル数は、1.0 mol × 0.0042 = 0.0042 mol です。したがって、アンモニアイオンと水酸化物イオンのそれぞれの物質量は0.0042 molとなります。

3. 水酸化カルシウムの水溶液における電離度とイオンの生成

水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)は強塩基であり、完全に電離します。0.0010 molの水酸化カルシウムを溶かした水溶液では、電離度が1.0であるため、すべてが電離してカルシウムイオン(Ca²⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)を生成します。

電離後、生成されるカルシウムイオンのモル数は0.0010 molであり、水酸化物イオンのモル数も0.0010 molです。つまり、カルシウムイオンと水酸化物イオンの物質量はそれぞれ0.0010 molとなります。

4. まとめと注意点

水溶液中のイオンの計算は、電離度を利用することで簡単に求めることができます。酢酸やアンモニアのような弱酸や弱塩基の場合、電離度を考慮して計算する必要があります。強塩基である水酸化カルシウムのように、完全に電離する物質はそのままのモル数でイオンが生成されることを覚えておきましょう。

この計算方法を理解しておけば、他の水溶液でも同様の方法でイオンの物質量を求めることができます。

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