「5Gが見えるなら大変だ」という言説は? ― もし5Gの電波が見えたらどうなるかを科学的に考える

化学

最近、「5Gの電波が見えたら怖い」「見える人がいたら大変だ」という動画や投稿を目にすることがあります。でも、実際にもし“5Gが見える”ようなことが起きたら、物理的には何が起こるのでしょうか。本記事では、5Gの仕組みや電波の性質から、“見える/見えない”の意味、そして「もし見えたら」の仮定がどこまで現実的かを整理してみます。

そもそも5Gとは何か ― 電波は「見えない」のが普通

は、第5世代の移動通信システムで、高速通信・低遅延・多数同時接続などを可能にする技術です。[参照]

しかし「5G」はあくまで電波を使った通信方式であり、電波は私たちの目に見える「光」ではありません。つまり、現実世界で“5Gが見える”というのは、電磁波を可視化する特殊な装置や演出がない限り、あり得ない感覚です。

なぜ多くの“5Gへの不安”は誤解されやすいか

電波は可視化されず、かつ人体に影響があるかどうか不透明なため、不安や憶測が生まれやすいという背景があります。特に「目に見えない=危険」「見えたらまずい」という印象が、心理的に“怖さ”を煽ることがあります。[参照]

しかし、実際にはなどの公的研究機関による測定でも、携帯基地局からの5G電波(RF)の実際の曝露レベルが安全基準の範囲内であることが報告されています。[参照]

もし5Gが見えたら――何が起こる? ― 仮定から考える問題点

仮に「5Gの電波が見える」ようになったというなら、それは“通常の電磁波”ではなく、何らかの特殊な可視化処理がなされている状態です。たとえば、通信キャリアや研究機関が周囲の電波分布を色や形で表示する“ビジュアライザ技術”を使えば、「5Gの帯域の強さ」などを可視化することは可能です。実際、こうした技術は基地局の配置や通信エリアの設計に応用されています。[参照]

ただし、そのような可視化はあくまで「見える化されたデータ」であって、「肉眼で電波そのものが光のように見える」という意味ではありません。もし“肉眼で見える”という主張がある場合、それは科学的根拠のない誤認または演出である可能性が高いです。

5Gの健康リスクと安全性 ― 見えるかどうかとは別の次元で

電波、特に5Gで使われるミリ波などは、基本的に「非電離放射線(non‑ionizing radiation)」であり、DNAを傷つけたり、原子をイオン化したりするような強い性質はありません。[参照][参照]

複数の科学的レビューでも、通常の5G通信での電波曝露が人体に重大な害をもたらす明確な証拠は見つかっていないと報告されています。[参照]

まとめ ― “5Gが見える”という話は誤解または比喩。現実的な心配は別の軸で考えるべき

「5Gが見える」といった主張は、ほとんどの場合、科学的実証のない誤情報、あるいは可視化ツールを使った比喩表現と考えられます。通常、私たちが目で見ている「光」と、スマホ通信などに使われる「電波」はまったく別の種類の電磁波であり、後者は目に見えません。

もしこのような話を目にしたときには、「本当に肉眼で見えたのか」「可視化装置ではなかったか」「情報の出所は信頼できるか」を慎重に確認することが大切です。一方で、5Gの安全性や影響については、公的機関や研究による測定データと国際的な安全基準にもとづいて、冷静に判断することが最も現実的なアプローチといえるでしょう。

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