ELISA、ウェスタンブロッティング、ドットブロットといった実験技術では、ブロッキング処理が非常に重要な役割を果たします。この処理が欠如すると、実験結果に不正確な影響を及ぼす可能性があります。この記事では、これらの技術におけるブロッキング処理の役割と、それを省略した場合にどのような結果が予想されるかを解説します。
ブロッキング処理とは
ブロッキング処理とは、実験で使う抗体やプローブが不必要に結合しないように、試料表面を一時的に塞ぐことを指します。これにより、非特異的結合を防ぎ、特異的な信号を強調することができます。具体的には、ブロッキング剤(例えば、ゼラチンやBSA)を使用して、ターゲット分子以外のサイトに結合する可能性のある分子をブロックします。
ブロッキング処理を行わない場合の問題点
ブロッキング処理をしない場合、試料表面に存在する他の分子(例えば、非特異的な蛋白質)が抗体やプローブと結びついてしまいます。これにより、背景信号が高くなり、信号対雑音比が悪化します。その結果、特異的なターゲット分子の検出が困難になり、誤った結果を招く可能性があります。
ELISAにおける影響
ELISAでは、ターゲット抗体が固体支持体に結合し、非特異的な結合を防ぐためにブロッキング処理が行われます。ブロッキング処理を省略すると、試料中の他の成分(例えば、サンプル中の非特異的な蛋白質)が抗体と結びつき、背景信号が増加します。これにより、ターゲット抗体の検出が妨げられ、誤った定量結果が得られる可能性が高くなります。
ウェスタンブロッティングにおける影響
ウェスタンブロッティングでは、ブロッキング処理はメンブレン上の非特異的結合を防ぐために不可欠です。もしブロッキングを行わないと、抗体がターゲット以外の蛋白質に結合してしまい、信号が増幅されないだけでなく、背景信号も強くなり、解析結果が信頼できなくなります。また、信号が偽陽性を示す可能性もあります。
ドットブロットにおける影響
ドットブロットでも同様に、ブロッキング処理を行わない場合、非特異的な結合が問題になります。ブロッキング処理を行わないと、目的の抗体がターゲットに結びつかず、誤って他の分子に結合することがあります。これにより、背景信号が強くなり、解析が困難になるだけでなく、誤った解析結果に繋がります。
まとめ
ELISA、ウェスタンブロッティング、ドットブロットにおけるブロッキング処理は、非特異的な結合を防ぎ、信号の精度を保つために非常に重要です。ブロッキング処理を行わないと、誤ったデータが得られたり、背景信号が高くなったりするため、必ず実施することが推奨されます。


コメント