圧縮側の公称ひずみ線図と真ひずみ線図について

工学

材料力学におけるひずみ線図は、通常、引張試験における公称ひずみ線図や真ひずみ線図が注目されることが多いですが、圧縮側のデータも同様に重要です。この記事では、圧縮側(図の第三象限)の公称ひずみ線図と真ひずみ線図がどのような形になるか、そして圧縮ひずみの表現について詳しく解説します。

1. 圧縮側のひずみ線図の特徴

引張試験で得られるひずみ線図は通常、応力-ひずみ曲線の右上部分、すなわち引張領域を表現します。圧縮側の線図は、引張側と異なり、応力が負の値を取るため、曲線が左下に位置します。圧縮試験では、材料が圧縮されることにより、ひずみが負の値をとるため、ひずみのマイナス方向に変化します。

圧縮試験における公称ひずみは、圧縮力が加わると材料が圧縮される際の体積の変化を表すもので、真ひずみはその実際の変形を示します。圧縮の際、材料は引張時よりも大きな変形を受けるため、真ひずみの方が大きくなることが一般的です。

2. 公称ひずみ線図と真ひずみ線図の違い

公称ひずみは、試験片の全体的な長さに対するひずみを指し、計算上の値です。一方、真ひずみは実際の材料の変形量を反映したもので、物理的な変形を直接的に示します。引張側では両者の違いが顕著ですが、圧縮側でもその差異は重要です。圧縮時には特に、高い圧縮強度を持つ材料では真ひずみの方が急激に増加することがよくあります。

公称ひずみ線図では、圧縮材料の挙動が単調に近い直線で表現されることが多いですが、真ひずみ線図は材料の破断点やクリープなどの挙動をより詳細に表現することができます。

3. 圧縮のひずみはどこまで図で表現できるのか

圧縮側のひずみは理論的には無限に小さくなることが可能です。一般的に材料の圧縮強度に達する前に、ひずみは破壊や極端な塑性変形を起こしますが、その過程でも圧縮ひずみは徐々に増加します。通常、圧縮試験ではひずみが最大の状態で試験が終了しますが、理論的にはそれ以上のひずみを示すことができます。

圧縮ひずみの限界については、材料の性質や試験方法によって異なり、ある程度のひずみまで線図に表現することが可能です。しかし、あまりにも大きなひずみを取ると材料が破壊され、試験が続行不可能となるため、理論的には限界があります。

4. 圧縮ひずみ線図の応用と重要性

圧縮試験におけるひずみ線図のデータは、建材や自動車、航空機などの構造物において非常に重要です。圧縮力が加わる部分の強度や安定性を評価するためには、圧縮側のひずみ線図を正確に理解する必要があります。特に、引張と圧縮の挙動が異なる材料においては、この情報が設計や材料選定において重要な役割を果たします。

例えば、高層ビルや橋梁などでは、圧縮側でのひずみが大きな影響を与えるため、圧縮特性を精緻にモデル化することが求められます。これにより、建設物が予期せぬ負荷を受けた際にも安全を保つことができます。

5. まとめ

圧縮側の公称ひずみ線図と真ひずみ線図は、引張側とは異なり、負のひずみを取ります。圧縮試験では、真ひずみが公称ひずみよりも大きな値を示すことが多く、圧縮領域のひずみ線図を正確に描くことが材料の特性を評価する上で不可欠です。特に高精度な圧縮試験を行うことで、構造物の設計において重要な情報を得ることができます。

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