この問題では、完備距離空間における縮小写像について、ある自然数nに対してf^nが縮小写像である場合、fが唯一の不動点を持つことを示すことが求められています。縮小写像に関する不動点の存在については、バナッハの不動点定理を用いると便利です。本記事ではその証明過程を詳細に説明します。
縮小写像と不動点定理
まず、縮小写像とは、距離空間において、写像f:X→Xが任意の2点を縮小することを意味します。すなわち、任意のx, y ∈ Xに対して、d(f(x), f(y)) ≤ c * d(x, y) となる定数c < 1が存在する場合、fは縮小写像です。ここでdは距離関数を表します。
バナッハの不動点定理によれば、完備距離空間における縮小写像は必ず唯一の不動点を持つことが保証されます。この定理を用いることで、f^nが縮小写像である場合、fが唯一の不動点を持つことを示すことができます。
問題の設定と仮定
問題では、f^nが縮小写像であると仮定されています。すなわち、あるnが存在して、f^nが縮小写像であることが与えられています。このとき、fは唯一の不動点を持つことを示さなければなりません。
まず、f^nが縮小写像であるという仮定から、バナッハの不動点定理を適用するために、f^nの不動点を求めることができます。バナッハの不動点定理によると、f^nには唯一の不動点が存在します。
f^nの不動点とfの不動点
f^nの不動点をpとします。すなわち、f^n(p) = pとなります。このとき、f^nがfをn回適用したものであることから、次の関係が成り立ちます。
f^n(p) = p
ここで重要なのは、fがf^nの不動点pにどのように作用するかです。fが縮小写像であるため、fはpを中心に収束します。この収束により、fもpを不動点として持つことが示されます。
唯一性の証明
次に、fが持つ不動点が唯一であることを証明します。もし、fが異なる2つの不動点を持つと仮定すると、それらの点間の距離が0でないことから矛盾が生じます。したがって、fの不動点は唯一であることが示されます。
まとめ
以上の議論を通じて、f^nが縮小写像である場合、fは必ず唯一の不動点を持つことが示されました。この証明では、バナッハの不動点定理を活用し、縮小写像の性質を用いることで、問題を解決することができました。


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