母親の記憶の捏造に関する質問が寄せられました。90歳近くの母親が、遺産相続手続きを自分が行ったと主張し、実際に手続きを行った娘がその事実を指摘すると興奮して反論したという問題です。認知症ではなく、日常生活に支障がないにもかかわらず、記憶を捏造する行動の背景にある心理や原因を探ります。
1. 自己中心的な性格と記憶の歪曲
質問者が述べるように、母親は若い頃から自己中心的で、自分に都合の良い解釈をする傾向があったとのことです。この性格が年齢とともに強調されることがあります。人は歳を取ると、自分の立場や状況に都合の良い記憶を保持しやすくなる傾向があります。これは、過去の出来事を自分の面子を守るためや、自分が最も価値のある存在であるという感覚を維持するために、記憶を修正することがあります。
2. 認知症ではなく、記憶の選択的修正
母親が認知症ではないとすれば、記憶を「捏造」する行動は、認知症の症状とは異なります。認知症の場合、記憶の喪失や混乱が見られますが、母親は日常生活をしっかりとこなしており、薬を忘れることもないため、これは認知症の初期症状ではないと考えられます。むしろ、過去の出来事に対する記憶を自分に有利に変えてしまう心理的な傾向が強いと言えます。
3. 精神的な防衛機制としての記憶改変
人は、精神的な防衛機制として記憶を歪めることがあります。特に、自分の立場を守りたい、あるいは他者に対する優越感を持ちたいという欲求が強い場合、自分が行った行動や出来事の解釈を都合よく変えることがあります。母親が遺産相続手続きを自分がやったと主張するのは、彼女がその事実を「自分が支配している」と感じたいためかもしれません。これは、自分を強く、価値のある存在だと感じたいという心理から来ている可能性があります。
4. 対処方法とコミュニケーション
このような行動に対処するためには、母親が自分の立場を無理に崩さないように配慮しながら、冷静に対応することが求められます。母親に対して直接的に間違いを指摘すると、感情的な反発を招く恐れがあるため、優しく話を持ちかけて、理解を促す方法が良いでしょう。また、こうした行動が常習的になってきた場合、専門家に相談することも一つの選択肢です。
5. まとめ
母親の記憶の捏造は、認知症によるものではなく、性格的な傾向や心理的な防衛機制が影響していると考えられます。高齢になるにつれ、自己防衛のために過去の出来事を都合よく解釈することは珍しくありません。対応する際には、感情的にならず、理解と配慮を持った接し方が重要です。


コメント